本CDは、平成20―22年度文部科学省科学研究費補金(基盤研究(B))-「研究課題:ロシア諸年代記の正本と異本のPC利用による比較対照研究とその応用」(課題番号:20320050)による成果報告である。
1998年3月に、本プロジェクトの研究代表者とほぼ同じ研究分担者の共同研究により、“A Concordance to RUSSIAN PRIMARY CHRONICLE Ⅰ,Ⅱ(LAURENTIAN TEXT)“を冊子体形式で刊行した。平成20年度には、上述のプロジェクトを開始するに当たり、上述の冊子体のデータを使用することによって、そのコンコーダンスのCD化を実施し、“ПОВЕСТЬ ВРЕМЕННЫХ ЛЕТ ПО ЛАВРЕНТЬЕВСКОМУ СПИСКУ: КОНКОРДАНС“として刊行した。
平成21年度には、“РАДЗИВИЛОВСКАЯ ЛЕТОПИСЬ(ФАКСИМИЛЬНОЕ ВОСПРОИЗВЕДЕНИЕ РУКОПИСИ・ТЕКСТ ИССЛЕДОВАНИЕ ОПИСАНИЕ МИНИАТЮР Москва《ИСКУССТВО》1994)“を底本として使用し、上述のテキストの電子化を終了し、 “РАДЗИВИЛОВСКАЯ ЛЕТОПИСЬ“のコンコーダンスを作成した。この年代記は多くの細密画を有していることでも知られており、そのため、底本としたテキストには細密画の挿入箇所がM.1~M.613として示されているが、コンコーダンス作成に際してはそれらを削除した。また、これまでに本プロジェクトの研究代表者が刊行してきたコンコーダンスとは異なり、本「コンコーダンス」ではテキストの頁数で見出語の出現箇所を表示することを断念し、リストの表裏の数字を表示することとした。
本CD版の「コンコーダンス」でも、各頁の中央部に見出語とその出現頻度数を示し、その頁の右側に、見出語のテキストの出現リスト数を三桁の数字(001v~251v)により、またリストの裏面の場合には文字vを付加することにより示し、その後に出現行数を示している。またテキストにおいて筆記体で記された文字・文字列・単語は活字体に修正し、丸カッコで括って示された文字・文字列は省略することはせず、そのまま活かしているが、本テキストでは同じ丸カッコを使用して異本とその異本上の表記を記載しているが、処理上の問題もあり、電子化に際しては削除している。それは“ПОВЕСТЬ ВРЕМЕННЫХ ЛЕТ ПО ЛАВРЕНТЬЕВСКОМУ СПИСКУ:КОНКОРДАНС“(CD版)、及び既刊の“ИПАТЬЕВСКАЯ ЛЕТОПИСЬ:КОНКОРДАНС“(CD版)を利用することが可能となっていると判断したからである。
これまでの「コンコーダンス」と同様に、研究分担者として酒井 純氏(神戸親和女子大学・講師)には情報処理の専門家として作業を依頼した。氏の全面的な協力なくしては、本「コンコーダンス」は完成し得なかった。記して同氏に感謝を申し上げる。更に水野晶子氏、今村栄一氏には、今回もデータの処理に関して多大の協力を得ていることを記してお二人にも感謝を申し上げる。
なお、多くの誤謬もあるかと危惧している。大方のご叱責とご教示をお願いしたい。
中條 直樹・酒井 純