@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00010670, author = {松井, 太衛 and Matsui, Taei}, month = {Mar}, note = {先体を持つ精子が、卵外被と反応して起こす先体反応は、受精に不可欠の精子の形態的、生化学的変化の一つである。本研究では、ヒトデの先体反応の誘起条件及び、卵ゼリー中の先体反応誘起物群と精子との相互作用を調べ、反応の誘起機構を考察した。  ヒトデの先体反応は、正常海水中(10MmCa^2+,pH8)で卵ゼリー中のARIS(先体反応誘起物質)とCo-ARIS(ARISの補助因子)によって誘起される。ARISは見かけの分子量が10^7以上の硫酸基が活性発現に必須であった。先体反応は高Ca^2+(40mM以上)や高pH条件(pH9-10)ではARISのみでも誘起され、また高Ca^2\pm高pH同時条件やA23187によっても誘起できた。  正常海水中、ARIS単独では先体反応は誘起されないが、ARISで前処理した精子に卵ゼリーを添加しても、もはや先体反応は誘起されなかった。Co-ARISを含む卵ゼリー由来の低分子画分(M_8画分)によっても同様の前処理が認められた。精製されたCo-ARISには、この様な効果はなく、プロナーゼ感受性であることから、M_8画分中の低分子ペプチド成分に起因することが示された。ARISや低分子ペプチド成分による前処分効果は不可逆的であり、精子と混合後に上清に残る各活性が低下していたことから、これらの成分が精子に吸着する可能性が示唆された。先体反応はCa^2\pmチャンネル阻害剤によって阻害されるが、前処理した精子では。卵ゼリ-によるCa^2+の取りこみを示さなかった。しかし、この様な精子もA23187によって先体反応を起こすことから、前処理によって精子のCa^2\pm取りこみ機構(おそらくはCa^2\pmチャンネル)が不活性化されることが示唆された。  一方、先体反応時に精子の細胞内pH(pHi)の上昇が起こり、これはM_8画分中の低分子ペプチド成分に依存していた。この成分は弱酸性条件(pH6.5)で精子の呼吸を上昇させたことより、精子活性化ペプチドの一種であることが示された。また、高Ca^2+条件下でARISを用いると、pHi上昇を伴わずに先体反応が誘起されることから、pHi上昇は先体反応に必須ではないことが明らかになった。しかし、pHi上昇を促すモネンシンによってA23187による先体反応が促進されること、M_8画分が同様の効果を示すことから、pHi上昇を伴う条件下では、より先体反応が起こりやすいと考えられた。  以上の結果から、卵ゼリーに接した精子は、ARIS、Co-ARISと未同定のペプチド成分の三者による作用を同時に受け、速やかに先体反応を起こすものと結論される。ARISとCo-ARISによってCa^2\pmチャンネル活性化機構はやがて不活性状態に不可逆的に移行し、卵ゼリーを添加されても、精子はもはや先体反応を起こせなくなると考えられる。また、ペプチドによって精子のpHiが上昇し、先体反応が促進されるものと考えられる。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類 : 理学博士(課程) 学位授与年月日 : 昭和61年3月25日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {ヒトデ卵ゼリ-中に存在する先体反応誘起物質群の研究}, year = {1986} }