{"created":"2021-03-01T06:17:34.743448+00:00","id":10732,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"6f15eccc-4028-457e-abbd-6c0cbe768c73"},"_deposit":{"id":"10732","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"10732"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00010732","sets":["643:644:645"]},"author_link":["32278"],"item_12_biblio_info_6":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"1982-02-01","bibliographicIssueDateType":"Issued"}}]},"item_12_date_granted_64":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1982-02-01"}]},"item_12_degree_grantor_62":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"ja","subitem_degreegrantor_name":"名古屋大学"},{"subitem_degreegrantor_language":"en","subitem_degreegrantor_name":"NAGOYA 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1.ニカメイガの休眠・ニカメイガ越冬幼虫を冬期毎月$25\\pm{2}$℃,16L,8Dの非休眠化条件で加温飼育し,蛹化率の変化から野外での休眠開始と休眠覚醒時期を求めた。岡山県倉敷地方では冬期野外で11月下旬から休眠に入り,2月上旬に休眠が覚醒するものと考えられていた。・中国背梁山脈蒜山原地方ではニカメイガは年1回発生であり,この越冬幼虫は11月初めにはすでに休眠に入り,加温飼育しても1頭も蛹化がみられず,倉敷地方の年2回発生にくらべ秋早く休眠に入るものと推定された。・春休眠が破れた後休眠木幼虫を加温飼育した結果と,自然条件での発蛾調査結果から,年1・2回発生型で蛹化前期間に差がみられなかった。しかし,年1回発生し地帯では年2回発生地帯にくらべ春から夏の気温が低く,実際の成虫の発蛾は春から夏の気温が低く,実際の成虫の発蛾は7月下旬から8月上旬であった。倉敷地方での年2回発生型は6月中旬と8月中旬に発蛾の最盛期がある。・夏世代の幼虫の発育速度は年1回発生型の方が速かった。・臨界日長は年2回発生にくらべ1回発生型の方がより長日側にあった。年1回発生型幼虫を14時間照明下で飼育すると休眠幼虫となった。・以上の結果から年1回発生型ニカメイガは,第1世代成虫の発蛾日が春から夏にかけての低温で遅れ,幼虫の発育が良いものの臨界日長がより長日であるため,8月の下旬の昼の時間によってすでに休眠が誘発され,休眠幼虫となり年1回しか発生しないものと考えられた。 2.耐凍性と凍結保護物質との関係・ニカメイガ幼虫の越冬時の耐凍性は,休眠に入るに従って高くなり,休眠が破れるに従って低下した。越冬休眠幼虫では-20℃の低温に耐えることができたが,-30℃ではすべて死亡した。越冬休眠幼虫の過冷却点では-15℃附近にあった。・冬期休眠幼虫の体内には多量のglycerolの蓄積がみられた。特に,体液中に多かった。体液のglycerolの蓄積が冬期の耐凍性の増大に関与しているものと推定された。しかし,体液中のglycerolが2%以上になると耐凍性は一定になった。Sorbitolは検出されなかった。・水分含量,体液中の遊離アミノ酸含量は冬期ほぼ一定であり,耐凍性の増加とは直接関係がないと考えられた。・体液中のtrehaloseもglycerolにくらべればわずかであるが冬期増加したことから,血糖も耐凍性の増加に関与している可能性が考えられた。・Glycerolが蓄積するに従って,脂肪体のglycogenが減少し,glycerolの主要な前駆物質はglycogenと考えられた。 3.Glycerolの生成に及ぼす要因・非休眠終令幼虫を種々の嫌気状態に置いても,glycerolの生成はみられなかった。越冬休眠幼虫では空気と窒素の比が4:1の組成のガスの中に保存した時最もglycerolの蓄積がみられ,窒素の比が高くなるに従ってglycerolの蓄積は抑制された。ニカメイガの場合,glycerolの生成がみられる前休眠期から後休眠期にかけて,酸素消費量はわずかしか低下がみられず,他の昆虫とは異なっていた。・$25\\pm{2}$℃短日条件(10L,14D)と長日条件(16L,8D)の飼育された終令幼虫を低温に保存し,glycerolの蓄積量を比較した。短日条件飼育の終令幼虫の方がはるかに多くのglycerolの蓄積がみられた。しかし,短日で誘発された休眠で破れると,低温に保存しているにもかかわらずglycerolの減少が起った。・越冬休眠幼虫の頭-胸部間,胸-腹部間を結紮し,glycerol含量に及ぼす結紮時期の影響を調査した。前休眠期あるいは休眠期に越冬幼虫を結紮すると,休眠が破れても遊離腹部には多量のglycerolが存在していた。一方,休眠が破れた後の後休眠期にあるいはゆるく結紮した場合は,無結紮の対照と同様glycerolの消失がみられた。・JH-Iや各種のJHAを塗布処理するとglycerol含量は増加した。しかし,濃度の高いJH-IあるいはJHAを処理すると対照にくらべglycerolの含量が抑制された。・越冬休眠幼虫に$\\beta$-ecdysoneを注射した後,25℃あるいは15℃に保存すると,glycerolの消失がおこった。しかし,4℃のような低温では対照と変ず,$\\beta$-ecdysoneの効果がみられなかった。・Glycerolの生成に及ぼす内分泌器官の影響について予備的調査を行なった。休眠幼虫の脳-アラタ体の連合体一対を遊離腹部に移植すると,glycerolの蓄積がみられた。 4.Glycerol代謝・$^{14}C$-GlucoseとUDP-$^{14}C$-Gを用いて越冬休眠幼虫と後休眠におけるglycogen代謝を比較した。休眠幼虫では$^{14}C$化合物はglycerolとglycogenに多くとり込まれ,後休眠幼虫ではtrehaloseに多くとり込まれ,glycerolには少なかった。非休眠終令幼虫ではglycerolへの-$^{14}C$とり込みはみられなかった。・ニカメイガ幼虫には他の昆虫と同様,hexokinase, phosphoglucomutase, uridine-5´-diphosphoglucose pyrophosphorylase, phosphorylase, glycogen synthetase, trehalaseが各組織に局在し,glycogenやtrehalose量は,組織中のこれらの酵素により制御されているものと考えられた。6種の酵素のうち,phosphorylaseと glycogen synthetase活性が最も低く,しかも越冬中のglycogen量の消長とよく一致していた。この結果から両酸素がglycogen代謝の律速酵素であることが推定された。・JHと$\\beta$-ecdysoneのglycogen代謝酵素活性に及ぼす影響を調査した。JH-1あるいはJHAを越冬休眠幼虫に処理しても対照とほとんど変わらなかった。一方,$\\beta$-ecdysoneはphosphorylaseを活性化し,この酵素の活性化により,$\\beta$-ecdysone処理越冬休眠幼虫でglycogen含量が減少したものと推定された。・越冬休眠幼虫により,$^{14}C$-(1)-glucoseから$^{14}CO_2$へ呼出される割合は$^{14}C$-(6)-glucoseにくらべ多かった。このことから,休眠中ペントースリン酸回路が活性化されていることかが明らかになった。Glucose-6-phosphate dehydrogenase活性が越冬休眠中高くなることからも,ペントースリン酸回路が休眠中のglycogen代謝に重要な働きをしていることが推定された。なお,解糖系の活性は休眠幼虫と非休眠終令幼虫で変らなかった。 5.Glycerol代謝・Glycerolの合成が盛んな越冬休眠中でも,温度が高いと$^{14}C$-glycerolからglycogenへの$^{14}C$の転移がかなり多く認められた。このことから,温度が高いとglycerolとglycogenの相互転換が,越冬休眠幼虫でも比較的容易に行われていることが推定された。しかし,低温ではglycogenからglycerolへの一方的な転移が起るものと推定された。・越冬休眠幼虫において$^{14}C$-glycerolは$\\beta$-ecdysone処理により分解が促進され,$^{14}CO_2$に代謝される量が多くなった。一方,JHA処理では$^{14}C$-glycerolの分解がわずかに対照とにくらべ抑制されたが,高濃度のJHA処理では逆に分解が促進され,glycogenに再合成された。・越冬中のglycerol代謝酵素,$\\alpha$-glycerophosphate dehydrogenase, glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase, lactate dehydrogenase,phosphataseの活性消長を調査した。Glycogen代謝酵素と同様,これらの酵素は各組織に局在し,glycerolの代謝に関与しているものと推定された。越冬中前休眠期から休眠期にかけて$\\alpha$-glycerophosphate dehydrogenaseと酸性phosphatase活性が活性し,glycerolの生成と一致していた。一方,glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase, lactate dehydrogenase,アルカリ性phosphatase活性は低下した。・JHAは$\\alpha$-glycerophosphate dehydrogenaseを活性化し,s'ycerolの生成を促進した。しかし,濃度の高いJHAによりこの酵素活性は抑制され,その結果glycerol含量は低下した。・$\\beta$-Ecdysoneは$\\alpha$-glycerophosphate dehydrogenase活性を抑制するというよりは,むしろglyceraldehyde-3-phosphate 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