{"created":"2021-03-01T06:17:35.453320+00:00","id":10743,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"cfb52a23-76d1-46d1-b04b-c55aad634c79"},"_deposit":{"id":"10743","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"10743"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00010743","sets":["336:635:636"]},"author_link":["32299","32300"],"item_12_biblio_info_6":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"1988-11-04","bibliographicIssueDateType":"Issued"}}]},"item_12_date_granted_64":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1988-11-04"}]},"item_12_degree_grantor_62":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"ja","subitem_degreegrantor_name":"名古屋大学"},{"subitem_degreegrantor_language":"en","subitem_degreegrantor_name":"Nagoya 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を取り込ませて硫化アンモニウムで発色させた。染色された運動神経細胞体は顕微鏡下で描画装置を用いてスケッチした。神経細胞体の位置と大ききの定量的測定はデジタイザーを用いてスケッチ図から行い、測定値は神経節の大きさで補正した。DLMを支配する背側分枝中の軸索数は常法に従って製作した超薄切片を電子顕微鏡で観察して調べた。 [結果と考察] 1.最初に成虫のDLMとこれを支配する運動神経の解剖学を記述すると共に、細胞体の大きさと位置の個体差を定量的に測定し神経細胞の同定方法の検討を行った。カイコ成虫のDLMは雌雄共に8本の筋肉束からなり、この内、縦走する6本(DLMla-eとDLM3)は翅の打下げに、斜走する2本(DLM2a, b)は翅の打上げに働いている。これらの筋肉は全て有翅胸部神経節(PTG)の前方部から出る神経根の一分枝(IINIc)によって支配されていた。コバルトの逆行性染色で調べると、DLMを支配する運動神経は、前胸神経節(PG)に7個、P TGの中胸部(MG)に2個存在し、細胞体の位置と大ききにより5つのグループに、すなわちPGの後側方の4個の大細胞(PL)、PGの側方または前方中央の2つの中細胞(PM) 、PGの後方中央近くの1つの小細胞(PS)、MGの前方反対側の1細胞(MC)、MGの後方中央の1細胞(UM)に再現性よく分類することが出来た。この分類は筋肉支配と一致し、PLとUMはDLM1a-dを、PMはDLM2a, bをPSはDLM3をMCはDLMleを支配した。運動神経細胞体の数と大ききと位置を定圭的に測定すると細胞数は極めて一定で細胞体の大ききには一般的な変勤しかないが、位置には大きな個体間変動が認められた。各グループは特異的な細胞体領域を持っていたが、特にPM、MC、UM細胞は離れた2カ所に領域を持つことが分かった。これは無脊椎動物の運動神経では初めての事例である。以上の事実は、DLM運動神経は細胞体位置の個体間変動を考慮しつつ行えば、細胞体の位置と大ききで同定しつつ研究することが出きることを示している。 2.次に幼虫中胸の背筋とこれを支配する運動神経の解剖学を記述し、幼虫と成虫間の中胸背側運動系の特異性と相同性を考察した。幼虫の中胸片半の背側には少数の筋線稚からなる23本の筋肉束が存在し、この内10本が縦走し、10本が斜走し、残りの3本が背腹方向に走り、幼虫行動に於て胸部の屈曲、収縮、捻れ等の運動や姿勢維持に働くと推測された。これらの筋肉は中胸神経節の前方部から出る中胸dorsal nerveの一分枝(db)に支配されていた。このdb分枝には電子顕微鏡で1 4本の運動性軸索が枕察きれた。コバルトの逆行性染色法で調べると多くの標本でPGと中胸神経節(MS G)に13個の運動神経が存在し、細胞体の位置と大 ききに基づき、PGの4個の大細胞(PL)、4個の中細胞(PM)、1個の背側細胞(PD)とMS Gの2個の反対側細胞(MC)、1個の背側細胞(MD)、1個の不対中央細胞(UM)に分類できた。この他に少数の標本でPGに1個の小細胞(P S)が染色された。従って細胞体数は軸素数と一致した。細胞体の大ききには一般的変動しかなかったが、位置には成虫のものと同様の個体間変動がみられた。以上の幼虫運動系を成虫のそれと比較すると、見かけ上の違いにもかかわらず筋肉系と神経系の形態パターンに共通の基本型が存在することが分かった。即ち、幼虫運動系は、成虫にない特異的形態の他に、成虫のI INI cから出る全ての細分枝、成虫DLMの全ての筋肉束、全ての成虫運動神経に対する相同物を持っていた。この事実は、成虫の翅運動系は機能的にも形態的にも大きく異なる幼虫運動系と発生上深く関係することを示唆している。 3.最後に成虫の末梢神経系分岐バターンとDLM運動神経の起源を変態を通じて追跡し調べた。腹髄と末梢神経系は変態中に劇的に変化した。胸部の縦連合は短縮し、PGとMSG、後胸神経節、腹部第1、2神経節は融合して1つの神経塊(PTG)となった。dorsal nerveにおいては神経の局所的伸縮と神経分岐点の神経節側への移動が起こり、幼虫のdb分枝は成虫のI INIcとなったが、主たる神経路に於て新しい分枝形成はなく、末梢神経の基本的分岐パターンは維持された。従って、成虫末梢神経系の分岐パターンは幼虫の持つ基本的パターンの修飾によって形成されるといえる。DLM運動神経は14個の幼虫神経中5個が変態初期に消失 し9個が生き残り成虫運動神経になった。グループ別にみると幼虫の4個のPL、2個のPM、1個のP S, 1個のMC、1個のUM細胞が変態を生き残り各々成虫のP L、PM、P S、MC、UM運動神経となった。また、幼虫の2個のPM、1個のPD、1個のMC、1個のMD細胞が消失した。変態によって運動神経が9個に減少することば潜成虫の背側分枝中の運動性軸索数の観察によっても確認された。従って全ての成虫DLM運動神経が幼虫のそれからできることが分かった。新たな成虫特異的運動神経はなかった。この結果は先に述べた幼虫と成虫間に存在する運動系の高い相同性と一致しており、翅運動のための神経回路の形成は幼虫運動神経の再利用を含む過程で、今後、末梢における支配筋肉の乗り換えや、中枢における樹状突起の変化、介在神経の変化等が研究されねばならない。また、タバコスズメガの成虫腹部の多くの運動神経が幼虫運動神経から出来ることが報告されているので、完全変態昆虫の変態に於て成虫運動神経はそれが胸部にあるか腹部にあるかに拘らず、また、それが制御する行動が幼虫時のものに類似しているか否かに拘らず、幼虫運動神経から出来ると考えられる。","subitem_description_language":"ja","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_12_description_5":{"attribute_name":"内容記述","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"名古屋大学博士学位論文 学位の種類 : 理学博士(論文) 学位授与年月日 : 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