@techreport{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00011193, author = {鈴木, 和博 and 水谷, 伸治郎 and 足立, 守 and 小嶋, 智 and Aitchison, J. and DAVIES, P. and Wilkins, C.}, month = {Mar}, note = {本研究で明らかになったことを以下に簡潔にまとめる. (1)オーストラリア東部,ニューイングランド造山帯と日本列島の基盤を構成する,主として中生代に形成された付加体群は,形成時期は違うものの,共通の特徴を持つものがある.例えば,オーストラリアのダンガチ(Djungati)テレーンと日本の美濃帯は,放散虫チャートから始まり珪質頁岩を経てタービダイトに至る層序を共通して持っている.これは,海洋地殻の沈み込み,および,付加というプロセスが,古生代と中生代という差はあるものの,古太平洋の大陸縁で普遍的に見られる作用であったことを示している. (2)ニューイングランド造山帯と日本の中生代造山帯は,どちらも付加体から成り,共通点が多いのはすでに述べた通りであるが,相違点もある.例えば,日本の付加体にはメランジュが普遍的に見られるが,オーストラリアの付加体にはさほどメランジュは多くない.これは,オーストラリア東部の地形が緩やかで, 風化が進んでおり,相対的に侵食に対して弱いメランジュが削剥されたためとも考えられるが,もともとの地質の相違を表しているのかも知れない.その場合, 同じ付加作用と言っても,そのプロセスに何等かの違いがあったことが予想され,それを明らかにすることは,今後の課題である. (3)ポートマッコーリー地域の岩脈構成岩は,SiO2含有量が35〜45%でMgO含有量の高いもの(高Mg岩)とSiO2含有量が45〜55%で MgO含有量が少ないもの(ドレライト,スペッサルタイト,フォーゲサイト)に大別できる。後者は,さらに,アルカリ(Na20+K20)含有量の高いものと低いものに区別できる。一般に,ドレライトは、スペッサルタイトやフォーゲサイトよりアルカリ含有量が低いが,普通の玄武岩と比べるとアルカリが多い。アルカリーシリカの関係で見るかぎり,ポートマッコーリー地域のドレライトで典型的なソレアイトに属するものは希である。スペッサルタイトの一部は Na20に富み,フォーゲサイトは著しくK20に富むが,いずれの岩石からも準長石類は見いだされなかった。高Mg岩はパーガサイト質の褐色角閃石を多量に含むことを特徴とする。褐色角閃石にはエピタキシャルに成長したアクチノライトートレモライトのリムが認められる。SiO2含有量が低いものは蛇紋石・滑石・緑泥石に置き変わったオリビンの斑晶とクロムスピネルの斑晶を含む。石基は蛇紋石・滑石・緑泥石の集合体からなり,長石類を全く含まない。比較的SiO2含有量が高い高Mg岩は蛇紋石・滑石や緑泥石に置き変わったオリビン斑晶が少なく,石基に斜長石が認められる。ポートマッコーリー地域の高Mg岩は,従来,ポニナイトの一種と考えられてきた(例えばAitchison,1994)。しかし,その化学組成はポニナイトとは大きく異なり,むしろコマチアイトに類似する。高Mg岩の成因として,オリビン斑晶が沈積濃集したマグマの貫入とコマチアイト質マグマの貫入の二つの可能性がある。平成7年度の調査で,高Mg岩岩脈の産状を精査した結果,大部分の脈の周辺冷却相が存在することが明らかになった。周辺冷却相にもオリビン斑晶が存在するが,サイズが小さい。そして,全岩組成はほとんど変わらないので,斑晶のサイズが岩脈の中心部分に向かって次第に大きくなる。このことはオリビン結晶を多く含んだマグマが固結して高Mg岩が生じたのではなく,高Mgのマグマが貫入して,in situにオリビンが晶出したことを示す。従って,高Mg岩岩脈はコマチアイト質マグマの貫入で生じたと見なせる。 (4)オーストラリア,ガミラロト(Gamilaroi)テレーンのデボン紀の岩石は,これまでこの時代からは産出が稀であるとされていた,3つのでっぱりを持ったスパインを有する放散虫を多産する.日本列島の同時代の放散虫群集と比較することにより,今後,古太平洋の古生物地理を議論することが可能になるであろう., 科学研究費補助金 研究種目:国際学術研究 課題番号:06045017 研究代表者:鈴木 和博 研究期間:1994-1995年度}, title = {オーストラリア東部のニューイングランド造山帯と日本の中・古生代造山帯の比較研究}, year = {1996} }