@techreport{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00011258, author = {三田, 昌彦}, month = {May}, note = {これまで13〜16世紀初頭のデリー・サルタナット期は、インド史上の重大な転換期と目されているにもかかわらず、その研究はもっぱらペルシア語宮廷史料に依存しており、地方社会についても一面的な情報しか持ち合わせていなかった。そこで本研究は、これまでほとんど整理、分析されていない、在地側の情報源であるサンスクリットをはじめとするインド系諸語の刻文(epigraphy)史料を収集し、そのデータを整理、分析することによって、当該期ラージャスターン、グジャラートにおける在地社会の構造とムスリム政権の地方支配の実態を明らかにする上で,これらの史料がいかに貴重なものであるかを示し,今後の研究の足がかりを作ることを目的とした。その結果,以下の点が明らかになった。 1)当該期のインド系諸語の刻文は意外に多く,確認されているものだけでも1500点はあり,今後の調査次第では都市レベルの細かい社会分析が可能である。 2)その内容も,各都市およびその周辺地域に対していかなる上位権力が支配を及ぼしているかが判明し,都市レベルでのヒンドゥー王朝やスルターン勢力の国家支配や権力関係の解明に欠かせない史料である。 3)スルターン権力は旧来の在地社会システムを通して統治を行ったと考えられているが,それはこの地域ではパンチャクラと都市の共同組織を抜きにしては語れない。 4)インド系諸語の刻文史料はヒンドゥーの地域エリートがスルターン権力をどのように見ていたかを知るほとんど唯一の史料であり,その初歩的な分析の結果,スルターン権力の庇護を受けたヒンドゥーは,スルターンをヒンドゥー的な王権として読み替えてその支配を受け入れており,またスルターンもヒンドゥーに対して「果をもたらす」正統な支配者であることを主張している。以上の諸点はいずれもペルシア語史料には期待できないものであり,当該期の史料として刻文が欠かせないことが判明した。, 科学研究費補助金 研究種目:基盤研究(C)(2) 課題番号:13610418 研究代表者:三田 昌彦 研究期間:2001-2004年度}, title = {刻文史料よりみたデリーサルタナット期北インドの在地社会}, year = {2005} }