@article{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00015011, author = {家森, 信善 and Yamori, Nobuyoshi}, issue = {E12-4}, journal = {Economic Research Center Discussion Paper}, month = {Oct}, note = {中小企業等金融円滑化法は、リーマンショック以降の経済危機の中で、中小企業を金融面から支援する施策として、緊急保証制度の創設と拡充とともに、代表的な施策である。民間の資金貸借に直接的に介入する金融円滑化法が様々な問題を持つことは明らかであるが、実際にどのように使われているのかは、これまで開示されている資料では十分に知ることができなかった。そこで、本稿では、そうした問題意識から筆者を含む研究グループが2010 年10 月から11 月にかけて実施したアンケート調査の結果を利用して、金融円滑化法の運用の実態を明らかにし、さらに、わが国の地域金融システム政策の課題について検討する。アンケート結果から得られている主な結論は次の通りである。(1)金融円滑化法の前の時期にも、金融機関は自主的に返済条件の変更に応じている。申し出率は10.3%で、申し出た企業の内、許諾率は90.2%であった。規模の大きな企業の方が許諾率が高いが、零細企業でも許諾されている。複数の金融機関から借り入れている場合でも、主取引銀行のみから許諾してもらっている例が多い。(2)金融円滑化法の施行後の時期について、申し出率は9.4%で、申し出た企業の内、許諾率は89.6%にとどまっており、金融円滑化法の前の時期とほとんど変わらない結果となった。(『中小企業白書2011』の許諾率94.4%と比べても、我々のアンケート結果の許諾率は低い)。(3)金融円滑化法のもとで返済条件の変更を申し出た後、金融機関の態度に変化があったという回答は、約25%であった。変化があったという企業に変化の内容を尋ねたところ、「担当者が再建の相談に乗ってくれた」は52%あるものの、「新規融資に冷淡になった」も30%あり、対応が2 極化している。(4)金融円滑化法施行後の返済条件の変更の対象で、いわゆるゾンビ企業が急増しているといった事態は見られなかった。たとえば、2期連続赤字企業の謝絶率は、円滑化法後の時期の方がむしろ高くなっている。ただし、金融円滑化法の施行によって変化がなかったのは、問題が起こっていないことを意味するのではなく、金融円滑化法よりも前の時期から問題が続いていたと解釈するべきであろう。(5)円滑化法による返済条件の変更を申し出た企業は、必ずしも資金繰り難に直面している企業ばかりではなかった。回答結果を総合的に判断すると、安易に申し出ているモラルハザード的な事例と、企業成長のための積極支援のケースの両者が混じっていると考えられる。(6)円滑化法による返済条件の変更の許諾を受けた企業に対して、金融機関の面談頻度が高いという傾向は見られず、積極的に支援しているのか疑問が残った。(7)「返済条件の変更後に、業績が回復した」企業は、許諾された企業の15%程度にとどまる。回復した企業の特徴を調べると、金融機関との関係性が深く(面談頻度が高いなど)、支援に際して金融機関が積極姿勢を示していること(金利の減免、新規資金の提供など)がわかった。}, title = {金融円滑化法と地域金融システム政策の課題 : 中小企業金融の実態調査結果に基づいて}, year = {2012} }