@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00005262, author = {山本(豊田), 章子 and Yamamoto(Toyoda), Akiko}, month = {Apr}, note = {Agrobacterium tumefaciens は植物細胞に自身の持つ T-DNA を転位させることによりクラウンゴール腫瘍を形成する。この T-DNA 転移の初期過程において、膜結合型プロテインキナーゼ VirA は、植物由来のフェノール化合物を感知して、この腫瘍形成に必要な vir 遺伝子群の発現を誘導する。また、ある種の単糖はフェノール化合物による vir 遺伝子発現を著しく増幅するが、この単糖への応答も VirA タンパク質を介して行われる。VirA タンパク質は2つの膜貫通ドメイン、ペリプラズムドメイン、リンカードメイン、キナーゼ相同ドメインおよびレシーバードメインの少なくとも6つの機能領域から構成されている。糖シグナルは化学受容体 Trg に相同性のある領域を含むペリプラズムドメインによって受容され、フェノール化合物のシグナルは細胞質リンカードメインの一部で受容されると考えられている。これに対して、第2膜貫通ドメイン (TM2) はシグナル受容に必須ではないと報告されている。本研究では、VirA のシグナル受容に必須な領域を詳細に明らかにするため、これらのドメイン中の種々の Agrobacterium 間で保存されている領域に突然変異を導入し、vir 遺伝子発現誘導および腫瘍形成能に対する影響を解析した。その結果、ペリプラズムドメインの Trg 相同領域は糖シグナルの受容に必須ではないことがわかった。一方、TM2 ドメインのほとんどの変異は糖による増幅には影響しなかったが、vir 遺伝子発現レベルが低下しており、特に細胞質リンカードメインに隣接した変異体の1つでは vir 遺伝子発現誘導能が完全に失われていた。リンカードメインではフェノール化合物の感知に必要なアミノ酸がこのドメイン全体に分散していた。以上の結果から、リンカードメインと TM2 ドメインの一部からなる少なくとも140アミノ酸の領域が vir 遺伝子発現の誘導に必要であることが明らかになった。 TM2 ドメインは膜にアンカーした VirA のリンカードメインがフェノール化合物を認識できるような構造をとるために必要であると考えられる。さらに、シグナル応答能が完全に失われた2種の異なる VirA 変異体 (自己リン酸化されるヒスチジンの置換変異体およびフェノール化合物シグナル受容部位の変異体) の間で相補試験を行った結果、vir 遺伝子発現誘導および腫瘍形成能の回復がみられた。このことから、二量体を構成する VirA 分子間でのリン酸転移が生ずることが示唆された。また、糖応答性に関わる変異体を用いた相補試験の結果、vir 遺伝子発現の糖による増幅には2つの完全なペリプラズムドメインが必要であることが示された。 T-DNA 転移の初期過程の次の段階として、vir 遺伝子にコードされるタンパク質の働きにより、アグロバクテリウム内で一本鎖 T-DNA、二本鎖 T-DNA および二本鎖環状型 T-DNA 分子が形成される。私はモデル実験系を用いて種々の vir 遺伝子の変異体における環状型 T-DNA 形成頻度を測定することにより、この T-DNA 環状化には、virD 遺伝子座のプロモーター領域に近い1.5kb の領域が必要であることを明らかにした。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(理学) (論文) 学位授与年月日:平成14年4月30日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {アグロバクテリウムから植物へのT-DNA転移の初期過程の研究}, year = {2002} }