@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009079, author = {川田, 光伸 and Kawada, Mitsunobu}, month = {Mar}, note = {銀河の形成と進化の解明は、天文学の最も興味深いテーマの一つである。このテーマに対する一つのアプローチとして、今回遠赤外線領域における宇宙背景放射の強度の精密な観測を行った。観測は、文部省宇宙科学研究所の観測ロケットS-520-15号機を用いて、1992年2月2日1:00(JST)に行われた。ロケット観測という限られた資源の中で最大限の成果を得るために、この観測にはいくつかの工夫がなされている。最も特徴的なことは、圧縮型のGe:Ga検出器と電荷蓄積型の読み出し方法を組み合わせた検出器システムを、新たに開発し採用したことである。これによって、これまでにない高感度な検出器システムが実現でき、空の表面輝度の精密な絶対測光を可能にした。また、高銀緯領域の最も中世水素の柱密度が低いLockman Holeと呼ばれる領域(l ~ 151°, b ~ 51°)を観測し、我々の銀河系に付随した放射成分の寄与を最小限におさえる工夫をした。この結果、100~200μmの波長帯で、λI_λ(154μm) = (3.64 ± 0.85) × 10^{-12} [W cm^{-2} sr^{-1}]、λI_λ(186μm) = (3.16 ± 0.69) × 10^{-12} [W cm^{-2} sr^{-1}] (20%の系統誤差を含む)という、これまでの観測の中で最も低い空の表面輝度を得ることができた。この値は、現時点で最も信頼できる宇宙背景放射の上限値である。この結果は、赤外銀河の形成と進化に対して有意な制限を与えた。 さらにこの観測は、高銀緯領域の星間ダストについても有益な情報を提供した。これまでの星間ダストの観測は波長が100μm以下に限られていたが、波長を200μmまでのばすことにより、その温度と強度を精密に求めることができた。これによると、高銀緯領域での星間ダストの温度は、放射率が波長の-2乗に比例すると仮定すると、T_{dust} = 17.4 ± 1.0 [K]で、これは銀河面の星間ダストの温度よりも有意に低く、銀河系円盤の外縁部とほぼ同じ温度である。また、中世水素1個当たりのエネルギー放射率は、4πε_{FIR} = (4.1 ± 0.2) × 10^{-31} [W (H-atom)^{-1}]である。さらに高銀緯の分子雲についても、分子雲の内部のダストは、その周囲の中世水素に付随したダストと同程度の温度を持っていることが明らかになった。この結果をもとに、水素分子の柱密度とCO-輝線の速度積分強度の比を求めると、N(H_2)/W_{co} = (1.1 ± 0.1) × 10^{20} [(K km s^{-1})^{-1} cm^{-2}]という値が得られた。これは、銀河面の巨大分子雲について得られた値と比べて、有意に低い値である。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(理学) (課程) 学位授与年月日:平成7年3月27日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {ロケットによる高銀緯での遠赤外拡散光の観測}, year = {1995} }