@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009084, author = {中村, 慎一郎 and Nakamura, Shinichiro}, month = {Feb}, note = {本論文は、非対称回転体―軸系の危険速度通過時に発生する振動のうち、主としてふれまわり振動と軸のねじり振動について述べたものである。本論文は6章から成り、以下の通り構成される。第1章は序言であり、論文のあらましを述べている。第2章は非対称回転体を持つ回転軸を一定駆動トルクで軸系のふれまわりについての危険速度を通過させた場合に発生するふれまわり振動などについて述べている。第3章は対称回転体を持つ回転軸を一定角加速度で駆動し、その軸系のふれまわりについての危険速度を通過させた後に発生する軸のねじり振動について述べている。第4章では非対称回転体を持つ回転軸を一定角加速度で駆動し、その軸系のふれまわりについての危険速度を通過させた後に発生する軸のねじり振動について述べている。第5章では回転角速度が変化する回転体―軸系の運動方程式を提示する。たわみ、たわみ角、ねじり角などの変位について2次の微小量までを考慮したモデルを提示している。第6章では、全体の結論を述べている。続いて各章の要旨を述べる。第1章では序論として、まず「非対称回転体」の定義を示し、そしてこれまでになされてきた回転体の研究についての概略を示す。「非対称回転体」とは、回転軸まわりに楕円や長方形の断面形状を有する回転体のように、回転軸に垂直な二つの慣性主軸まわりの慣性モーメントが等しくない回転体のことである。初期の回転体―軸系の研究においては、固有振動数や危険速度が重要な問題であった。回転機械の振動問題の検討対象としては固有振動数や危険速度の決定が主で、他の要素は従たるものであった。しかし、近年における回転機械の大型化は機械の剛性を相対的に低下させることになり、そのためにこれまで軽視されてきたその他の振動現象も工学的に研究されることになった。近年では、危険速度通過時の振動、曲げ剛性に方向性を持つ偏平軸の振動、非対称回転体の振動、ばね特性が非線形である回転軸の振動、剛性に方向差のある軸受台で支持された回転軸の振動、回転軸に亀裂が存在する場合の振動、角速度が変動する場合の回転軸の振動、自在継手で駆動される回転軸の振動、危険速度を通過する場合のねじり振動の振幅を考慮した加速の方法の検討など様々な研究がなされている。また、第1章では、以下に示す第2章から第5章までの内容の概略もあわせて記されている。第2章では、非対称回転体を持つ軸を一定の駆動トルクで加速した場合の危険速度通過時のふれまわり振動について述べている。緒言でその概略を述べ、片持ちの非対称回転体―軸系の運動方程式を軸のたわみ、たわみ角、ねじり角について2次の微小量の精度で示し、それらの漸近解を求め、数値解析した。まず、定常状態での不安定領域を示す。ついで、直接数値積分により、漸近近似の仮定である「回転軸は危険速度を通過中、単一周期の調和振動を行う」という仮定が成立することを確認する。続いて駆動トルクの大きさが危険速度通過時に与える影響を調べた。駆動トルクが十分に大きい時は、一定角加速度の場合と同じように、回転軸は危険速度をなめらかに通過することができる。しかし、駆動トルクが小さいと、危険速度を通過できずに不安定領域の境界付近に停滞してしまう。この場合に、ふれまわりに関する減衰を大きくすると、危険速度を通過できることがあることを示す。そして、危険速度通過時のふれまわり振幅が、偏心の角位置を変化させた場合に変化することを示す。偏心の角位置によっては、もともとふれまわりが安定である対称回転体よりも小さな最大振幅で危険速度を通過できることを確認した。この性質は、偏平軸系の場合と同じである。第3章では、対称回転体を持つ軸を一定の角加速度で駆動してふれまわりの危険速度を通過させたときに、回転軸にねじり振動が発生することを示す。まず概略を述べ、両端を固定支持した対称回転体―軸系の運動方程式を2次の微小量の精度で示す。特に、ねじり角については、振動的に変化する部分と、定常的な部分を分けて取り扱う。続いて直接数値積分による数値解析結果を示す。危険速度を通過する前で、ふれまわり振幅が小さいときはねじり振動は発生していない。回転角速度がふれまわりの危険速度に近づき、ふれまわり振幅が大きくなると、それに対応する形でねじり振動が始まる。ねじり振動の大きさは危険速度通過の際に大きくなり、通過とともに減少する。しかし、さらに時間が経過し、軸のふれまわり速度が軸のねじりの固有振動数と一致すると、ねじり振動は共振する。軸の駆動トルクも同様に変化する。続いて、ねじり振動の原因がふれまわり振幅の変化であることについての考察を述べる。回転体がふれまわるためのエネルギが駆動端から回転軸を通じて出入りする。そして、ふれまわり振幅の増減に伴うエネルギの出入りは軸の駆動トルクの変動という形で現れる。エネルギの出入りの振動数が軸のねじりの固有振動数に一致するようになると、軸は共振するようになる。第4章では、非対称回転体を持つ軸を一定の角加速度で駆動してふれまわりの危険速度を通過させたときにも、回転軸にねじり振動が発生することを示す。まず概略を述べ、両端を固定支持した非対称回転体―軸系の運動方程式を2次の微小量の精度で示す。本章の解析モデルは、回転体が非対称であることを別にすれば第3章と同じである。第3章と同様に、ねじり角については、振動的に変化する部分と、定常的な部分を分けて取り扱う。続いて、これらの式にたいする漸近近似解を示す。続いて、この漸近近似解を数値積分して、その解析結果を示す。対称回転体の場合と同じく、ねじり振動は危険速度を通過した後に発生する。ねじり振動の共振は2回起きる。対称回転体の場合と同じ角速度でもねじり振動が発生するが、それに加えて、回転体の非対称性に起因するねじり振動が別の角速度で発生することを示す。この漸近近似式による解析結果は、第3章の対称回転体の場合においても適用可能である。さらに、不つりあいの角位置を変えることにより、ねじり振幅の最大値がどのように変化するか調べた。ふれまわり振幅と同様に、不つりあいの角位置によっては、非対称回転体の場合でもねじり振幅の最大値が対称回転体よりも小さくなることがある。加えて、角加速度を変化させるとねじり振動の最大値が周期的に変動することを示し、その原因を考察する。回転体の非対称性に起因する第1のねじり振動と、不つりあいに起因する第2のねじり振動の間の位相が互いに同じであるか逆であるかによって、全体としてのねじり振幅が変動することを解析により示す。第5章では、回転角速度が変化する回転軸の運動方程式について考察し、軸変形の成分について2次の微小量の精度を保った運動方程式を提示する。ラグランジュの運動方程式とオイラーの運動方程式は、運動を表す式としては等価でなくてはならない。しかし、これまでに報告されたいくつかの論文では、回転体の運動方程式の表現が一部分異なっているものがある。はじめに、解析の対象とする片持ち固定支持の対称回転体―軸系を示し、座標系を定義する。まず、ラグランジュの運動方程式を求める。最初に、運動エネルギを求める。ついで、位置エネルギ(ひずみエネルギ)を求める。この際、軸の変形に対して3次の微小量の精度を保つために、曲げとねじりの弾性理論を導入して位置エネルギを計算する。さらに、散逸関数を求め、これらをラグランジュの運動方程式に代入して、最終的な運動方程式を得る。次に、オイラーの運動方程式を求める。回転体に作用する力と力のモーメントを求めて、オイラーの運動方程式を得る。そして、両者を比較すると、両者は同一であるという結論に達した。従来用いられてきた式の表現が一致しないのは、式を求める際に軸変形について2次の微小量の精度が保たれていないからと考えられる。第6章では、本論文の第1章から第5章までの結論を簡潔に示す。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(工学) (課程) 学位授与年月日:平成8年2月28日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {危険速度通過時に発生する回転軸の振動に関する研究}, year = {1996} }