@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009335, author = {永峰, 康一郎 and NAGAMINE, Koichiro}, month = {Dec}, note = {本研究は岐阜県瑞浪市の白狐温泉において、温泉から遊離するガスの組成について連続自動観測を行い、その観測結果から温泉ガスの各成分の起源を推定した。その観測期間中に発生した有感地震に伴う温泉ガスの異常な組成変化について考察し、地震予知への応用を図った。白狐温泉は岐阜県東南部、屏風山断層の近くに位置している。温泉水は白亜紀の花崗岩の割れ目から湧出し、泉源は池となっている。この池の底からはほぼ絶え間なくガスが遊離し、気泡となって上昇してきている。この気泡(温泉ガス)を水中で捕捉して一旦タンクにためておき、30分毎にそれをガスクロマトグラフに導入して分析を行う。ガスクロマトグラフは2台用いて、温泉ガスに含まれるヘリウム、水素、アルゴン、窒素、メタンそして酸素の6成分について分析を行った。この温泉ガスは窒素とメタンが主成分である。現地にはパーソナルコンピューターが設置してあり、ガスクロマトグラフへの試料導入から分析結果のテレメーター送信までコンピューターのプログラムに従って実行されていて、観測は完全自動無人化されている。また温泉ガスと並行して大気圧と気温も測定している。これらの観測結果は非常に安定しており、本研究で検討する各成分の微小な変動も明瞭に識別することができる。本研究では分析時に生じる誤差を減少させるための簡便な方法として、温泉ガスの分析結果を各成分の絶対濃度ではなく成分間の濃度比(主にアルゴンに対する比)で表わしている。各成分間の関係について調べてみた結果、主成分であるN_{2}/Ar比とCH_{4}/Ar比との間に正の相関関係が認められた。この相関の端成分の組成から、温泉ガスは主に大気起源成分(窒素、アルゴン)と地下起源成分(窒素、メタン)との混合したものであることが判明した。大気成分については地表水が地下へ浸透する際に溶解していたもの、地下起源成分については温泉水が地下深部を移動中に溶解したものと考えられる。このうち地下起源成分についてはこれまでに行われた同位体比測定結果から、堆積物から熱分解によって生成されたものであり、さらにそれが一旦地下のリザーバーに蓄積され、そこでバクテリアなどによって2次的に変質されたものであることが推定された。主成分である窒素とメタンに対して、微量成分の一つであるヘリウムについてはやはり地下起源成分であると考えられるが、N_{2}/Ar比及びCH_{4}/Ar比とHe/Ar比とはいずれも顕著な相関関係は認められなかった。このことはヘリウムが上記2主成分とは独立した起源に由来することを示唆するものである。白狐の温泉ガスのヘリウムはこれまでの同位体比の測定結果から、その大部分は花崗岩に多く含まれるウラン、トリウムの放射崩壊によって生成されたものと考えられる。残りの微量成分である酸素及び水素には顕著な日変動が観測された。このことからこれら2成分は上記の地下起源の4成分と異なり、地下深部あるいはそれ以前から温泉水に溶解していたものではなく、泉源の池の中あるいは湧出口のごく近傍の地下で溶解したものと考えられる。このうち酸素については、平均的に昼間に濃度が高くなる日変動を示すことから、池の中に繁殖している緑色植物の光合成によって生成されたものと考えられる。これに対して水素の起源ははっきりと推定することはできないが、水素は酸素濃度の低下する夜間に濃度が高くなる傾向を示すことから、嫌気性の微生物がその生成に関与していることが考えられる。白狐の温泉ガスの地震に関係した組成変動については、これまでに有感地震の発生とほぼ同時にHe/Ar比が増加する現象が観測されていた。このような地震に伴う変動は短期的かつ微小なものであるので、生のデータと移動平均との差に着目することによって比較的周期の長い変動を除去し、スパイク状の変化を識別しやすくする処理を行っている。本研究ではこの処理に最適な移動平均の1区間の長さを検討した結果、24時間が最適とみなして処理を行った。白狐温泉に近い名古屋、岐阜、飯田のいずれか有感の地震は観測期間中に10回発生した。このうち4回の地震について温泉ガスのHe/Ar比が異常に変化していた。これらの異常変化はいずれもHe/Ar比が増加する方向のもののみであり、また地震発生後の最初の分析、すなわち30分以内に起こり、その後6時間以内にもとのレベルまで回復していた。これらの変化に伴う地震はいずれも有感であったこと、上述のヘリウムの起源とを考えあわせると、地震発生時のHe/Ar比のスパイク状の増加は地震の震動によって岩石中に蓄えられていたヘリウムが地下水上に一時的に多く放出されたためと思われる。また逆に異常変動の現れる時間が地震発生直後であることから、ヘリウムの起源は比較的浅いところにあると考えられる。上記のような温泉ガスの起源及び地震時の挙動についての考察は長期にわたる30分間隔の密な温泉ガスの連続観測結果が得られて初めて可能となったものである。本研究で行ったように、温泉ガスの複数の成分について連続観測を行うことは、地下流体の起源と挙動についての解析や地震予知に有用であると期待される。, The origin and coseismic behavior of mineral spring gas were examined on the basis of the continual monitoring data for several gas species. The automatic monitoring system used in this study consists of two gas chromatographs and a personal computer. Several gas species can simultaneously be analyzed with these analyzers. The system was so stable and sensitive that minute coseismic anomalies in these species could be detected. A positive correlation between N_{2}/Ar and CH_{4}/Ar implies that the mineral spring gas is a mixture of atmospheric air and lithospheric gas. The lithospheric gas is mainly composed of N_{2} and CH_{4}, and also contains trace amounts of He. It is inferred from isotopic data that lithospheric N_{2} and CH_{4} are thermogenic and He is mostly radiogenic. In contrast, O_{2} and H_{2} in trace amounts show large diurnal fluctuation, suggesting that these species must be mostly biogenic. Ten earthquakes felt around the station occurred during this monitoring period, and four of them coincided with coseismic anomalies in He / Ar ratio. The anomalies may be interpreted as follows; by the ground motion at these felt quakes, He accumulated in the ground was additionally released into the spring water. The continual monitoring of these gas species enables us to discuss in detail the origin and behavior of the spring gas and to evaluate background noise of the data., 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(理学) (課程) 学位授与年月日:平成5年12月28日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {Origin and coseismic behavior of mineral spring gas at Byakko, Japan, studied by automated gas chromatographic analyses}, year = {1993} }