@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009386, author = {森田, 千明}, month = {Jan}, note = {超高圧電子顕微鏡において電界放出電子銃は加速電圧1000kV級の高電位空間となる高さ約1.4mの多段加速管頂部に搭載され、アース側との放電防止のため絶縁ガスSF_6(圧力4気圧)の高圧タンク内に収められる。電子銃の安定動作に必要な超高真空排気方法をはじめ、アース側から電子銃部の制御・監視方法及び電子回路の駆動電源開発など装置構成に関する技術課題、陰極のクリーニング法、放出電流や真空度の計測法など電界放出動作に関する技術課題及び電界放出陰極の高輝度を維持するための電子銃と多段加速管に関する電子光学的な技術課題などへの対応を図った。以下に試作開発した基本的な設計概念と対応策について、本論文の各章概要を示す。第2章では、高電位空間に設置された電子銃及び電子回路を鏡体アース側から制御、監視する遠隔換作手段として、光ファイバーによる時分割多重双方向伝送方式と絶縁棒とステッピングモータを組み合わせた機械的方式について述べる。また、光双方向伝送を実現した1000kV耐電圧のファイバー開発や電界放出陰極の放電破壊防止のセーフティ機能について述べる。第3章では、電子顕微鏡の10時間稼動を前提とする電子銃部の電子回路の消費電力から駆動用バッテリーの電源容量決定について述べる。また、既存のフィルターコンデンサ回路の許容電流を考慮して、従来に比べて約1桁大きい充電電力の伝送方式を述べる。第4章では、電子銃の安定動作に必要な超高真空(10-8pa台前半)を達成するため、高電位空間に設置したイオンポンプによる電子銃部の直接排気及び多段加速管上部での差動排気構成について述べる。また、多段加速管も同様な加熱脱ガスを可能にするため、加速電極をメタライズ接合で一体化したセラミック加速管を新しく開発した。加熱脱ガスの真空排気期間に用いる簡易な真空モニター方式についても述べる。第5章では、電界放出陰極は吸着ガスや微小な突起物のない清浄な陰極表面を維持、再生するために、電界放出動作直前や長時間動作後は加熱クリーニングが必要である。通常、陰極チップを短時間(約0.5sec)に高温加熱(約2000k)するフラッシング処理を行うが、過度の加熱はチップ半径の鈍化による陰極寿命を短くする。このため、フラッシング条件の最適化が必要であり、実装状態で正確な加熱電力と加熱時間を可変調整できるフラッシングシステム開発について述べる。第6章では、電界放出電子銃を超高圧電子顕微鏡へ搭載するための最適な電子光学系条件と稼動条件について述べる。電界放出電子銃の光源径は従来熱電子銃の1/1000程度と微小であり、電子銃及び多段加速管の光学収差により輝度低下を生じ易いため光学的検討は極めて重要である。また、加速管頂部から遠距離の検鏡試料上で、広範囲な加速電圧変化に対応し、いつも高輝度なビーム照射条件を維持できることも必要である。このため、電界放出電子銃と多段加速管の電子光学特性を数値解析して、電子銃部の静電レンズ収差について電極形状、電極配置への依存性を検討した。また、加速管各段に分布したレンズ作用の光学収差が電子銃輝度を低下させる要因であることを見出して、各段電極間に等電圧を印加する従来の等加速電圧配分に代えて、加速管の初段で減速電界を形成する初段減速電圧配分を考案した。また、電子銃の電界放出動作や加速電圧の変化に応じた最適な照射条件を形成するためには、加速管上部に光源結像位置を調整する磁界レンズの導入が不可欠であることを見出した。これら解決策による電子銃、磁界レンズ及び初段減速電圧の加速管で構成された電子光学系について、透過像観察条件と走査透過像観察条件のそれぞれで総合特性を述べる。さらに、加速管の高圧放電を回避するため、電子線が多段加速管電極に入射しないで動作条件を形成する操作手順についても述べる。第7章では、電界放出電子銃を装備した超高圧電子顕微鏡の総合動作特性として、透過像、走査透過像観察及び輝度測定について述べる。また、現有装置の総合実験で判明した問題を含めて、電子光学系の改善点及び電磁場変動や機械的振動等の外部擾乱に関わる技術的課題について述べる。第8章では、本論文の総括と電界放出電子銃による超高圧電子顕微鏡の今後の展望について述べる。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(工学) (論文) 学位授与年月日:平成17年1月31日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {超高圧電子顕微鏡用電界放出電子銃開発に関する基礎的研究}, year = {2005} }