@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009425, author = {早川, 雅司 and Hayakawa, Masashi}, month = {Mar}, note = {A systematic procedure for the measurement of CP, T, CPT, and the ⊿S=⊿Q rule violations is proposed. At a φfactory not all symmetry violating parameters are determined. Therefore we must further appeal to the experiment that can provide $K^{0}$ and $\bar{K}^{0}$ beams separately. :素粒子の模型から量子論的な効果を含めた予言を与える論理的な基盤は現在、量子場の理論と呼ばれるものである。量子場の理論ではC(荷電共役変換)、P(空間反転)及びT(時間反転)という3つの離散的変換が自然に導入される。しかし、現実の素粒子の世界がこれらの変換のもとで対称であるかどうかは実験観測により判断すべき問題である。実際、P、C及びCP対称性が破れていることは直接確認されている。理論的にはP,Cの破れは強、弱、電磁相互作用の標準模型の枠組みの中で理解されている。しかしCPの破れは標準模型では単に現象論的な一つのパラメータで表されており、それを何かより基本的な理論の帰結と考えるのが自然である。よって、CPの破れを詳細に調べることは、素粒子の世界の未知の構造を明らかにするものと期待される。 現在CPの破れの観測は中性K中間子系($K^{0}$と$\bar{K}^{0}$からなる)で行われている。数年後にはφファクトリで$φ→K^{0}\bar{K}^{0}$により大量のK中間子を生成することにより、様々な角度からより精密にK中間子の性質、それを通じてCPの破れの構造を明らかにしていくことが計画されている。 またφファクトリではTの破れの直接観測、さらにはCPT対称性の検証を行うことも検討されている。ここで、CPT対称性は現在の量子場の理論に基づくどんな模型にも保証されている対称性であり、CPTの破れは現在の量子場の理論の修正を要求する。すなわちCPT対称性の検証は量子場の理論の一つのテストである。 CPTの検証を中性K中間子系で議論する際にしばしば⊿S=⊿Q規則が仮定される。これはストレンジ数Sを持った粒子の崩壊において、その増加分⊿Sがハドロン状態の担う電荷の増加分⊿Qに等しい過程の方が⊿S=-⊿Qのよく似た崩壊に比べ、より起こり易いことを主張するものである。それは例えば、過程$K^{0}→π^{-}e^{+}ν$が$\bar{K}^{0}→π^{-}e^{+}ν$に比べ、より起こり易いということである。これらの確率振幅の大きさの比$x_{e}$は将来の実験で$10^{-4}$まで観測可能といわれているのに対し、標準模型は一般におよそ$10^{-7}$を予言する。このため⊿S=⊿Q規則の破れは、しばしば無視される。ところが標準模型は量子場の理論の枠組みの中で定義されており、CPT対称性は、初めから正確な対称性として保証される。従って、CPTの破れを探求する際に標準模型の予言は意味がなく、⊿S=⊿Q規則の破れが無視できるという理由は何もない。カイラル摂動論を用いた標準模型による予言では、μ粒子の場合の$x_{μ}$は、終状態のレプトン系の運ぶ運動量の値によっては$x_{μ}$~$10^{-4}$程にもなることが指摘されている。また、未知の物理による増加の可能性も考えられる。したがって、⊿S=⊿Q規則の大きな破れ(x~$10^{-4}$)の可能性を残しておく必要がある。本論文では中性K中間子系においてCPの破れに関する詳細な情報を引き出すとともに、Tの破れの観測、CPTの検証及び⊿S=⊿Q規則の破れの測定を行うための系統的なアルゴリズムの構成を試みた。まずφファクトリを想定した場合にいかなる情報が得られるかを調べた。その結果、φファクトリでは特に、CPTの破れを特徴づけている量が一つしか測定できないことがわかった。この量の値は例えば、2つの崩壊モードが共に半レプトン的なものを観測することにより決定できる。またφファクトリでは⊿S=⊿Q規則の破れの大きさも測定できない。これらはφの崩壊から同時に得られる$K^{0}\bar{K}^{0}$ビームにおける$ K^{0}$と$\bar{K}^{0}$の間の量子力学的干渉を取り除けないことに起因する。そこで干渉のない$K^{0}$と$\bar{K}^{0}$のビームを独立に取り出す従来の実験環境でより良い精度の測定が可能であるとし、その実験がφファクトリで得られない情報を提供できるかを調べた。その結果、$K^{0}$と$\bar{K}^{0}$のビームを独立に取り出す実験において、中性K中間子系におけるCPTの破れと⊿S=⊿Q規則の破れを、最も詳細に調べられることがわかった。この場合には、例えば$\bar{K}^{0}$ビームから$π^{-}l^{+}ν_{l}$(l=e,μ)が得られる確率振幅と$K^{0}$ビームから$π^{+}l{-}\bar{ν}_{l}$が得られる確率振幅の時間依存性の違いなどを観察することが必要である。本論文ではCP、T、CPT及び⊿S=⊿Q規則の破れを特徴づける各々の量が、中性K中間子のどのような崩壊過程を観測すれば測定できるかをまとめた。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(理学) (課程) 学位授与年月日:平成6年3月25日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {Towards the measurement of CP, T, CPT and the ⊿S=⊿Q rule violations in the neutral K meson system}, year = {1994} }