@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009443, author = {戸本, 誠}, month = {Mar}, note = {高エネルギー加速器研究機構で、Bファクトリー実験(Be11e実験)が1999年より開始した。本実験の最大目的は、素粒子物理学現象をこれまで矛盾なく記述している「標準理論」の枠組に組み込まれている小林・益川理論によるCP非保存現象の精密測定である。クォークの質量固有状態と弱い相互作用を起こす時の固有状態は異なり、これら2つを結び付けるのが小林・益川行列である。クォークが3世代で構成されるなら、小林・益川行列は3つの混合角と1つの位相角で表現でき、位相角の存在がCP非保存をひき起こす。小林・益川行列は、ユニタリー条件を満足する。具体的な行列成分で記述すると、\nV_ubV^*_ub + V_cdV^*cb + V_tdV^*_tb = 0\nを満足し、複素平面上に三角形を構成する(ユニタリー三角形)。私は本論文研究課題として、中性B中間子振動現象( B[0][d]B ̄[0][d])の測定についてまとめた。2つの中性B中間子( B[0][d]B ̄[0][d])は、ボックス・ファインマン・ダイアグラムを経由しお互い混じり合う。その混合周期は2つ質量固有値の差(Δmd)に依存する。「標準理論」の計算によると、Δmd値は小林・益川行列の成分の1つであるV_tdV^*_tbに制限を与える。現在のΔmd測定値の世界平均は、0.472±0.017ps^{-1}で、これにより、|V_tdV^*_tb|=0.0083±0.0016なる制限を与えている。また、CP位相の測定誤差は、Δmdの測定精度に依存する。私はBelle実験で、ダイレプトン事象を用いたΔmd精密測定を行なった。Belle実験加速器(KEKB)は、●世界長高のルミノシティーを達成。●重心エネルギーをΥ(4S)粒子質量に設定し、綺麗な環境下でのB中間子事象の解析が可能。●非対称な電子・陽電子ビームエネルギーによるB中間子のブーストがB中間子崩壊時間の測定を可能にする。 の特徴を持つ。ダイレプトン事象は、2つのB中間子が共にセミレプトニック崩壊を起こす事象で、2つのレプトンの電荷と、上述の加速器特色、精度良い検出器を活かしたレプトン生成点の測定から B[0][d](B ̄[0][d])粒子の存在確率時間発展の測定による振動測定が可能になる。この種のΔmd測定は世界初で、測定結果Δmd=0.483±0.014  \begin +0.032 \-0.030 \end ps^{-1} を得た。この測定値は現在の世界平均と一致している。また、実験開始わずか1年少々で、精度は既に世界中のどの測定結果よりも優れている。今回のΔmd精密測定は、小林・益川行列にさらなる制約を与え、CP非保存の物理解明に役立つ。また、今後のCP位相測定時に、わざわざ世界平均を用いなくても同一実験のΔmd測定値を使えることは非常に重要なことである。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(理学) (課程) 学位授与年月日:平成13年3月26日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {Belle実験に於けるダイレプトン事象を用いたB[0][d]B ̄[0][d]振動現象の測定}, year = {2001} }