@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009589, author = {清, 忠師}, month = {Aug}, note = {雪結晶の形態上成長条件との関係は、気象学的側面ばかりでなく結晶成長学的にも興味深い問題である。このうち、低温低圧空気中で氷結晶を成長させる実験は、氷結晶の成長機構の研究を可能にし、南極や高層大気中での雪結晶の研究にとっても重要である。本研究では、0~-300℃の温度領域で、水分子の体積拡散の抵抗を無視できる40Paの低圧空気中で、しかも結晶化の際に放出される潜熱の輸送抵抗を無視できる下地物質上に多面体氷晶を成長させて、その晶癖変化の温度依存性を研究した。下地物質上で氷結晶を成長させる実験は、潜熱の輸送の方法が天然の雪結晶とは大きく異なる。しかしながら、この方法は成長温度や過飽和度を正確に決めることができること、また成長時の氷結晶の外形と表面構造の時時刻刻の変化を観察できると言う大きな利点がある。本研究では種々の温度で成長する多面体水晶の(0001〉面と(10\bar{1}0〉面の法線成長速度、および結晶表面上のステップの過飽和度依存性の測定を行い、これらの測定結果と種々の結晶成長理論を比較した。更に結晶表面のその場観察を行って多面体水晶の成長機構を明らかにした。また、氷結晶の成長形に及ぼす空気圧の影響を調べるために1.0×10^5 P a(1気圧)の空気中で氷結晶を成長させる実験も行い、低圧空気中での実験結果と合わせて、氷結晶の晶癖変化の温度依存性、南極での雪結晶の成長形について議論した。氷晶成長の実験は氷飽和点と融点を実験毎に確認して、マイクロコンピューターによる温度、温度差の自動計測を行い、高い精度で温度、過飽和度を制御した。顕微鏡には、表面の僅かな凹凸を検出することのできる反射型微分干渉顕微鏡を使用し、氷結晶表面上の成長丘、蒸発ピット、ステップ運動等を観察した。また、テレビカメラ、ビデオ装置を使用して、ステップの前進速度の過飽和度依存性を測定した。体積拡散の抵抗を無視できる40Paの低圧空気中で、0~-30℃の温度領域でほぼ一定の過飽和度で氷結晶を成長させたところ、-30℃では多面体の角柱、-15℃では多面体の角板、-7℃では多面体の角柱、約-3℃以上では再び角板が成長し、多面体水晶の晶癖変化は温度に著しく依存していた。低圧空気中での氷結晶の晶癖変化の温度依存性をより一層詳しく調べるために、同一結晶を用いて、一定の過飽和度(1.9%)で温度のみを連続的に変える実験を行った。この時、結晶のサイズを揃えるために、温度を変えるごとに氷結晶をゆっくりと蒸発させ、約50~100μmの球状水晶にした後、再成長させて氷結晶の晶癖変化を調べた。結晶の個体差まで考慮したこのような実験はこれまでに行われた例がなく、本研究は氷結晶の晶癖変化の温度依存性の一歩前進した研究であると言える。次に、多面体水晶の晶癖変化の温度依存性の機構を明らかにするために、{0001}面と{10\bar{1}0}面の法線成長速度とこれらの面上のステップの前進速度の過飽和度依存性を種々の温度で測定した。氷結晶の法線成長速度は、大きさ300μm、C軸方向とa軸方向の長さの比が0.6