{"created":"2021-03-01T06:16:22.203354+00:00","id":9592,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"7f309bea-254d-4156-aba8-ba88b27239f5"},"_deposit":{"id":"9592","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"9592"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009592","sets":["320:606:607"]},"author_link":["29184"],"item_12_biblio_info_6":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"1990-03-08","bibliographicIssueDateType":"Issued"}}]},"item_12_date_granted_64":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1990-03-08"}]},"item_12_degree_grantor_62":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_language":"ja","subitem_degreegrantor_name":"名古屋大学"},{"subitem_degreegrantor_language":"en","subitem_degreegrantor_name":"Nagoya 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同位体水及びトリチウム化メタンなどのような炭化水素の不純物が含まれている場合でもトリチウムのみを選択的に吸収し、トリチウムガスの精製も可能であることが見いだされた。更に、Zr-Ⅴ-Fe及びZr-Ni合金に対する水素同位体および同位体水の吸蔵や脱離の活性化エネルギーが昇温脱離法によって求められ、水素同位体の吸蔵過程ではZr-Ni合金の方がZr-Ⅴ-Fe合金よりも大きな同位体効果を示し、同位体水に対する同位体効果は水素同位体に対するそれよりも大きくなった。即ち、Zr-Nl合金は水素同位体や同位体水の分離に対しても適用可能であることが示唆された。これらより、Zr系水素貯蔵合金がトリチウムガスの貯蔵-供給-回収材料のみならず分離・精製材料としても有望な候補材料になりうることが知られた。第6章では、金属材料に対するトリチウムの汚染及びその除染に関する問題として、真空装置や計測装置に主として用いられる金属材料に対するトリチウムの吸着-脱離挙動を調べた結果について述べている。真空条件下にある鉄では、トリチウムガスの接触により、トリチウムが表面に吸着すると同時に金属の内部にも一部溶解する。金属表面の状態によってトリチウムの吸着量及び吸着状態は大きく変化し、溶解したトリチウムは表面のトリチウム濃度の変化や一酸化炭素のようなトリチウムとの反応性に富む気体の付加によって表面に再拡散することが知られた。一方、銅、ニッケル及び金などの金属材科がトリチウムを含む大気の条件下にさらされた場合、銅やニッケルでは雰囲気中の湿度条件によってトリチウムの吸着量に相違がみられるが、金には湿度条件に関係なくトリチウムガスが殆ど吸着せず、トリチウムの吸着はその金属が有する本来的な吸着能によって支配されることが知られた。これらより、トリチウムガスを使用する装置材料としては金が有望な材料であることが知られた。しかし、金でもトリチウム水の吸着は避けられず、吸着トリチウム水の除去に対しては紫外線による光照射が有効であることが明かとなった。第7章では、二次電子増倍管や絶縁材料に対するトリチウムの汚染及びその除染に関する問題として、酸化物に対するトリチウムの吸着-脱離挙動について調べた。結果について述べている。酸化物材料でもトリチウムの吸着は起こり、酸化物を原料として製作された二次電子増倍管では、トリチウムが酸化物の表面に水酸基を形成して捕獲されているが、500℃以上の高温に加熱することによってトリチウム水として脱離・除去が可能であることが知られた。更に、二次電子増倍管を検出器として装備した質量分析計では、トリチウムガスの分析操作によって二次電子増倍管へのトリチウムの吸着が起こり、その性能が著しく阻害されることが明かとなり、その対策としては先に示したような光照射法などによる除染法の検討が必要であると考えられる。第8章では、トリチウムをトレーサーとして利用し、エチレンの水素化反応に対する反応機構の考察と同時に触媒表面での水素の挙動を調べた。その結果、触媒表面の水素濃度が反応生成物の種類に大きく作用し、Pt/SiO_2での水素化反応速度と交換反応速度の比率は、Ni/SiO_2での比率よりも約100倍大きくなり、Pt/SiO_2では水素化反応が圧倒的に優勢に進行することが知られた。このことは、Pt/SiO_2触媒がトリチウム除去システムでのトリチウム酸化触媒としても有望であることが示唆された。第9章においては、前記の章の総括と今後の展望について述べている。以上、本研究においては、水素同位体の同等使用をめざして、金属及び酸化物に対するトリチウムの吸着-脱離挙動を検討し、トリチウムの安全取扱い技術の確立に関連する基礎的研究を種々の角度から実施したものである。その成果として、最終的には一回に10Ci(~10^{-4}モル)程度のトリチウムを安全に取り扱うための技術の確立およびこの技術の確立の基本となる水素同位体と種々の材料との相互作用に関する基礎的知見を得た。このようにして確立されたトリチウムの安全取扱い技術は、水素同位体の同等使用による同位体効果や放射線効果などの研究及びD-T核融合炉におけるトリチウム制御・管理の研究開発に広く利用されると考えられる。","subitem_description_language":"ja","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_12_description_5":{"attribute_name":"内容記述","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"名古屋大学博士学位論文 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