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Al-Zn-Mg系合金の材料表面特性と添加元素に関する電気化学的研究
http://hdl.handle.net/2237/11398
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2009-04-02 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Al-Zn-Mg系合金の材料表面特性と添加元素に関する電気化学的研究 | |||||
言語 | ja | |||||
著者 |
井上, 哲雄
× 井上, 哲雄 |
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アクセス権 | ||||||
アクセス権 | open access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||
抄録 | ||||||
内容記述 | アルミニウム合金は容易に表面上に不働態皮膜を形成するため、種々環境中で良好な耐食性を示す。ところが、この皮膜は通常の腐食環境下では優れた耐食性を示すのであるが、特別な環境、例えば海水やハロゲンイオンを含む溶液中では非常に局在化した腐食すなわち孔食と呼ばれる現象をひき起こし、皮膜の破壊を起こすことがよく知られている。この研究の主たる目的はアルミ合金表面に形成される不働態皮膜の特性およびその生成反応機構を解析し、材料特性に及ぼす影響を考察することである。特に応力腐食割れ(SCC)等の腐食現象を解明するためにはこの不働態皮膜の腐食特性の解明が重要であると考えられる。しかしながら不働態皮膜の生成、成長と孔食の発生とを簡潔な概念で結びつけるためには現在までの研究は必ずしも体系化されているとはいえず、むしろ不働態皮膜の実体から生ずる構造変化を解明する試みはまだ模索の段階であると思われる。本研究においては、高カアルミニウム合金の中でも代表的なAl-Zn-Mg系合金をとりあげ、微量元素の添加や圧延加工および熱処理等の変化と時効処理による材料特性の評価を行うとともに、電気化学的な立場から不働態皮膜の評価および検討を行った。この論文は9章から構成されており、それぞれの要旨を以下に示す。第1章は序論であり、Al-Zn-Mg系合金の状態図や組織等の金相学的立場、時効析出過程と硬化挙動とか強度や靭性等の材料強度学的立場およびSCCや腐食等の電気化学的立場の三点から本系合金の特徴を述べた。さらに、本系合金の不働態皮膜に関する過去の研究状況を述べ、明確になっていない研究分野を示して、本研究の位置ずけを行っている。第2章においては各種添加元素(Zr,Cu,Cr,Si,Ti)によるAl-Zn-Mg系合金の特性を分極挙動を中心に検討し、不働態皮膜特性に与える影響を明らかにするとともに、時効処理による皮膜特性の変化をも評価した。すなわち、引張り強さは、Zrを添加することにより増大するが、その効果は0.2%添加で最大となり、0.3%では逆に強度の低下がみられた。硬度についても、強度の場合と同様の傾向を示したが、過時効状態になるとZr添加の効果はほとんど認められなかった。また、孔食発生電位は時効が進むと貴の方向に移行し、その傾向は時効析出物による試料表面のアルミニウム純度の変化とよく対応がついた。さらに不働態保持電流は、Zr添加により小さくなり、試料表面の不働態皮膜が安定になるということが判明した。また、G.P.ゾーンとの作用の異なる元素を4種類(Cu,Cr,Si,Ti)添加したが、Cu,Crでは添加量が増加することにより本系合金の孔食電位は貴に変化したが、Si,Tiの場合は大きな変化は認められなかった。時効処理が進行するとともに、孔食電位が貴に変化することが確認され、さらに不働態保持電流は、それぞれ元素の添加量の増加により減少する傾向が得られた。また、時効時間の増加とともに電流密度が減少していくことが明らかになった。第3章では2章と同様4種類の元素を添加したAl-Zn-Mg系合金の分極挙動におよぼす圧延加工の影響を検討した。453k時効においての硬化曲線では圧延材は鋳造材に比してHvで約20~30高い値110~120が得られた。添加元素ではCuとCrが他の元素より硬化度合が大きいことが判明した。添加量の増加とともに結晶粒の微細化傾向が認められ、圧延材においてその傾向が大きいことが判った。孔食電位の変化は圧延材におけるCu添加の場合に最も顕著に現われ0.03at.%添加で約100mV貴に移行した。他のCr、Tiも貴に変化したがその変化割合は小さく、またSiについてはほとんど変化しなかった。時効が進むと、圧延材、鋳造材ともに孔食電位が貴に変化することが確認された。不働態保持電流は、それぞれ元素の添加量の増加により減少する傾向が得られ、圧延材、鋳造材とも同様な傾向であったが、その電流密度は圧延材のほうが低い値であった。また時効時間の増加とともにその値は減少する傾向を示し、時効処理によるアルミニウム濃度の変化と良好な対応がつけられた。第4章ではAl-Zn-Mg系合金の分極挙動におよぼす結晶粒度の影響を電気化学的に検討した。圧延材、鋳造材とも結晶粒度とその粒界長さとの間に良好な正の相関関係が認められ、圧延材の方が結晶粒度の差異に対する粒界長さの変化が大きく、結晶粒が微細であることがわかった。結晶粒が小さくなり粒界の占める面積が大きくなると孔食電位は貴に、不働態保持電流は減少する傾向が認められた。これは、粒界部は活性であるから耐食性が良好でち密な酸化皮膜が生成されるからだと考えられた。第5章ではAl-Zn-Mg合金のアノード分極特性におよぼす表面あらさの影響について検討を行った。表面あらさを変化させることにより分極挙動に変化があらわれ、孔食電位や不働態保持電流の変化はRmaxで5μmと10μmの間に境界部が存在することが判明した。これは皮膜の厚さやち密さ等表面状態の均一性の違いにより、塩化物イオンに対する抵抗性が異なり、局部腐食の発生に差が生じることが判った。孔食の成長におよぼす表面あらさの影響については、Rmaxが30μm以上の粗な表面においてはその影響は大きく変動するとともに、孔食の成長は増大される傾向にある。これは表面皮膜が破壊された後の修復度が、この表面あらさにより大きく影響されているからと確認された。第6章では時効したAl-Zn-Mg系合金について0.5N NaCl溶液中にて電位を不働態域に保持し、低ひずみ速度引張り試験を行ない不働態皮膜の破壊挙動および修復現象について検討を行った。不働態電位域にて引張り試験を行なうと、溶体化材では不働態保持電流はひずみの増加とともに大きくなり電流値の変動が激しく、ひずみの変化に対する皮膜の追随が悪い。一方、ピーク時効材では溶体化材に比べて電流値の変動は小さく、ひずみの変化に対して皮膜の追随が良好であることを示した。本系合金に銅を添加することにより、ひずみ増加に伴なう電流値の増加割合が減少することから、皮膜が薄く、ち密に形成されていると考えられ、無負荷時の分極曲線による不働態保持電流の減少ともよく一致した。引張り試験後の破面観察によると、溶体化材は表面および内部とも主としてディンプルが観察された。ピーク時効材は表面近傍には皮膜破壊によると思われる粒界割れが、内部にはディンプルが主として観察された。これより、時効によって表面に形成される皮膜の特性に差が生じていることが明らかになった。第7章では熱処理にて結晶粒度を調整し、その影響を界面インピーダンス挙動を測定することにより不働態皮膜の状態変化と関係づけて検討した。界面インピーダンス法により算出した皮膜の反応抵抗Rおよび皮膜容量CはAl-Zn-MgおよびそれにCrを添加した合金では粒界長さの増大により、すなわち結晶粒の微細化により大きくなる傾向を示した。一方、Cu添加合金では結晶粒が微細されても大きな変化は認められかった。すなわち、Cuは粒界よりも粒内に優先的に固溶され、粒界にはあまり影響を及ぼさないと考えられる。皮膜容量Cの値については、Al-Zn-Mg三元合金の方が、CuやCrを添加した合金よりも大きな値を示した。これは、溶体化処理されることによりAl-Zn-Mg三元合金はCuおよびCr添加合金に比べて母相のアルミニウム濃度がより高くなることによる固溶原子の量の影響の違いに起因していることが明らかになった。第8章ではⅠ/M法にて作成した圧延板材および同組成の合金粉末を熱間等方加圧処理(HIP)したHIP材について、その材料特性と常温0・5N NaCl溶液中における分極特性等を調べ、I/M材とHIP材での特性の変化およびHIP処理の効果を検討した。一軸加圧成形された粉末合金もHIP処理することにより孔食電位は数十mV貴に変化することになり、不働態保持電流は減少する傾向にあることがわかった。HIP処理されたP/M材は、同組成のI/M材(S.S後)に比べて孔食電位が数十ミリボルト貴な電位を示した。また不働態保持電流の値についても従来の圧延材に比べて、同組成のP/M材(HIP処理をしたもの)の電流密度は減少する傾向にあることがわかった。このことから合金粉末より加圧成形したP/M材がHIP処理されることにより、従来のI/M法にて作成した圧延材よりも耐孔食性が良くなるということが判明した。Al-Zn-Mg系合金の表面に生成される不働態皮膜の特性は、本系合金に施される時効処理による試料表面のアルミニウム濃度の変化と関連づけて考えることができることが実験的に確かめることができた。すなわち時効の進行とともに孔食電位は貴に、不働態保持電流は減少すること、また界面インピーダンス挙動より皮膜容量Cの値が大きくなること等より時効の進行とともにMgZn_2等の中間相の生成→母相中の固溶ZnおよびMg量の減少→アルミニウム濃度の増加→安定な皮膜の成長という過程を経て不働態皮膜の性質は変化するということが判明した。 | |||||
言語 | ja | |||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | ||||||
内容記述 | 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:工学博士 (論文) 学位授与年月日:平成3年10月7日 | |||||
言語 | ja | |||||
内容記述タイプ | Other | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源 | http://purl.org/coar/resource_type/c_db06 | |||||
タイプ | doctoral thesis | |||||
書誌情報 |
発行日 1991-10-07 |
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学位名 | ||||||
言語 | ja | |||||
学位名 | 工学博士 | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||
学位授与機関識別子 | 13901 | |||||
言語 | ja | |||||
学位授与機関名 | 名古屋大学 | |||||
言語 | en | |||||
学位授与機関名 | Nagoya University | |||||
学位授与年度 | ||||||
学位授与年度 | 1991 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1991-10-07 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 乙第4030号 | |||||
フォーマット | ||||||
application/pdf | ||||||
フォーマット | ||||||
application/pdf | ||||||
著者版フラグ | ||||||
値 | publisher | |||||
URI | ||||||
識別子 | http://hdl.handle.net/2237/11398 | |||||
識別子タイプ | HDL |