@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009663, author = {児玉, 康一}, month = {Mar}, note = {ハドロン反応におけるチャーム・ビューティー粒子の生成・崩壊の研究を目的として開発した、原子核乾板・カウンターハイブリッド実験の技術、特に原子核乾板の照射・解析技術について述べる。この技術は、350GeV/c π^-・原子核反応で生成されるビューティー粒子の直接検出を主目的としてCERNで行った、日本とヨーロッパの国際共同案験WA75で初めて使用し、日本グループで、全解析反応数10^4 のうち73%を解析した。著者は、主に、原子核乾板の半自動解析システムのハード・ソフト両面の改良と機能強化を行い、実験を成功に導いた。ハドロン・原子核反応で生成されるビューティー粒子の検出には、10^8 という大量の反応を蓄積する必要がある。ハイブリッド実験においては、原子核乾板に入射可能なビーム密度(反応密度)は組み合わせるカウンターの精度によってその上限が決められてしまう。WA75実験では、現在、最高の位置分解能を持つSSD(50μmピッチ)を主体とする飛跡検出器を使用して、5×10^4 ビーム/cm^2 の高密度照射を実現している。この照射密度で、必要な反応数を限られた照射時間内に蓄積する為に、大面積(従来使用してきたものの5.5倍)・高精度のスタックと、これを、3mmφのペンシルビームに、照射密度一定で照射する為のターゲットムーバーを開発した。また、スタックの大型化に伴い、照射済みのスタックを、解析作業に最も通した形状に加工する、ミニプレート方式を開発し、解析作業のネックであったプレート交換の時間を、無視できる所まで短縮した。原子核乾板の解析には、人間主体の解析作業を補助するために開発した、半自動解析システムを使用した。このシステムのハードウェアは、テレビ計測ユニット付きの顕微鏡ステージと、これをオンラインで制御するための制御ユニットで構成され、ホストコンピュータ上のソフトウェアで制御する。ハードウェアで、ホストコンピュータの端末画面、グラフィック画面、原子核乾板中の飛跡の映像を単一画面上にスーパーインポーズし、飛跡の測定等の全ての作業をその画面上だけで行える様にした。このハードウェアを活用して、原子核乾板中の飛跡を『測定』する代わりに、グラフィック画像と『比較』するグラフィックマッチの解析手法や、原子核乾板中の飛跡の追跡・測定を、グラフィックのガイドを頼りに行う解析手法を開発した。この解析システムを、WA75実験においては日本グループ全体で約10台使用し、その結果、過去の最も解析能力に優れた実験(E531)の10倍の解析能力を実現した。更にこのシステムは、他の実験グループにも使用されるに至っている。この様な技術開発により、WA75実験ではビューティー粒子の崩壊を伴う反応1例とチャーム粒子対2対の同時発生を伴う反応2例を世界で初めて検出する等の物理的成果をあげる事ができた。またこのハイブリッド実験の技術は、ハドロン・原子核反応におけるチャーム・ビューティー粒子の研究(FNAL E653実験)だけでなく、原子核・原子核中心衝突反応の研究(CERN NA34・エマルション実験)や、低エネルギー原子核物理の分野の重要課題の1つである、ストレンジネス=-2を持つダブルハイパー核の存在の確認(KEK E176実験)にも応用されている。E653実験およびE176実験の解析は、現在進行中である。NA34・エマルション実験の解析は終了しつつあり、素過程の核子・核子反応におけるチャーム粒子の生成断面積として、以下の様な結果を得ている。(図表有)将来計画として、1990年にCERNで予定されている200A・GeV/cの32S原子核ビームを使って、原子核・原子核中心衝突反応におけるチャーム粒子の生成を調べる実験、500リットルの原子核乾板中に105^程度のν反応を発生させ、ν_τとν_μのオシレーションの上限値を、現在の上限値の1/10に下げる事を目的とするν実験等を計画しているが、これらの実験には、原子核乾板・カウンターハイブリッドの手法が最適であり、現在の技術を一層発展させる事により充分可能であると考える。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:理学博士 (課程) 学位授与年月日:平成1年3月25日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {ハドロン・原子核反応で生成されるチャーム・ビューティー粒子検出の為の複合実験におけるエマルション技術の開発とその応用}, year = {1989} }