@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009668, author = {丹羽, 康夫}, month = {Dec}, note = {par(protoplast auxin-regulated)遺伝子は、タバコ葉肉細胞プロトプラストを、オーキシンを含む培地で培養したときにその発現量が増大する。タバコ個体におけるpar遺伝子の発現をmRNAレベルで調べた結果、根で強く発現していること、さらに弱いながら種子でも発現していることがわかった。par遺伝子の植物体での発現様式をより詳細に解明し、さらにその発現制御領域を特定する目的でpar遺伝子の5'上流域をタバコ染色体ライブラリーより単離し、転写開始点より-1679塩基までの配列を決定した。その結果、cDNAと塩基配列が一致するpar1遺伝子に加え、cDNAの塩基配列と一部一敦しないpar遺伝子(129アミノ酸中4アミノ酸の置換)の5'上流領域も同時に単離された。par1, par2両遺伝子の5'上流領域を比較したところ、転写開始点より-400塩基前後までは、高い相同性がみられた。par1, par2両遺伝子の発現をより簡便に検出するために、両遺伝子の6アミノ酸残基以下を大腸菌由来のβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子におきかえたキメラ遺伝子を作製した。このキメラ遺伝子を、Agrobacteriumを用い、タバコ染色体上へと導入し、形質転換植物体を得た。par1-GUSキメラ遺伝子を導入した形質転換植物体からプロトプラストを調整し、人工オーキシンの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)に対する応答を検討したところ、培地中に2,4-Dを添加したプロトプラストの方が無添加で培養したプロトプラストより約4倍高いGUS活性値を示した。また、形質転換体におけるGUS活性を測定したところ、葉、茎と比較して根で、高いGUS活性が検出された。また、種子において比較的高いGUS活性がみられた。以上の結果は、前述したRNAレベルでのpar遺伝子の発現とよく一致することから、転写開始位置より-1679塩基までにpar1遺伝子の発現を制御している配列が存在していると考えられる。種子におけるGUS活性は、種子形成の後期になって検出されることがわかった。発芽に伴うキメラ遺伝子の発現は、par1, par2両遺伝子とも発芽初期より根においてみられた。発芽時に限らず、根におけるキメラ遺伝子の発現を組織レベルで観察すると、根毛と根端で特に強い発現が認められた。par1遺伝子の5’上流領域を順に欠失させたキメラ遺伝子を導入した形質転換植物体を解析した結果、par1遺伝子は根および種子において、-138のSphI部位までに含まれる配列によってその発現の特異性は制御されており、-328のXbaIから-1679のEcoRI部位までの配列によって発現量が制御されていると考えられる。すでに、カリフラワーモザイクウイルス35SRNAプロモーターが、タバコの根端で機能することが知られており、その発現制御には、TGA1aタンパク質が関与していることが報告されている。今回、ゲル移動皮シフト法により、par1遺伝子の+53から-138までの領域にTGA1aタンパク質が、配列特異的に結合することが明らかになった。したがって、TGA1aは、par1遺伝子の根端における発現の制御因子の一つであろうと推測される。一方、プロトプラストの培地中に2,4-Dを添加しないで培養したものと、2,4-Dを添加して培養したものとにおけるキメラ遺伝子の発現量の差を比較した実験から、-138より下流に2,4-Dに応答する配列が存在していると考えられる。par1-GUSキメラ遺伝子は、形質転換タバコから単離したプロトプラスト以外にも、芽生えの時期に、外部から添加した2,4-Dに応答し、その発現が増大することが明かとなった。2,4-Dによる増大効率は、無添加時でも発現レベルが高い根では、2倍程度であったが、2,4-D無添加時に発現レベルが極めて低い子葉では、40倍以上も発現量が上昇した。このように、子葉中のpar遺伝子は、外生のオーキシンに対して鋭敏に応答して発現することがわかった。したがって子葉は、オーキシンによるpar遺伝子の発現制御機構を研究する優れた材料であると考えられる。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:理学博士 (課程) 学位授与年月日:平成3年12月25日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {オーキシンによる植物遺伝子発現制御機構の解析}, year = {1991} }