@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009676, author = {安田, 成臣}, month = {Mar}, note = {医用画像検査には,一般X線撮影,X線コンピュータ断層撮像(computed tomography: CT),磁気共鳴撮像(magnetic resonance imaging: MRI),核医学画像,超音波診断画像等,種々のモダリティが存在するが,何れの検査も診療の現場において必要不可欠な存在となっている.この中でも特にX 線CT 装置の性能の向上が近年では目覚しく,多データ収集系(data acquisition system: DAS) 型CT 装置が実用化されてからは従来の単DAS 型CT に比べて広範囲の撮像が短時間で可能になったり,あるいは薄いスライス厚での撮像が可能になったりと,より低侵襲且つ高空間分解能での撮像が可能となった.このようにX 線CT画像の高速撮像化や高空間分解能化が進み,短時間でより広範囲の撮像が可能となったものの,このことはボリューム撮像,あるいは将来的には4 次元撮像(ボリューム撮像に時間の次元を与えた撮像) の利用頻度を増加させると予測することができる.ボリューム撮像や4 次元撮像では使用するX 線量が多いため,放射線による患者のリスクを増加させないためにも低線量での撮像が望まれる.しかし線量を下げることで画像ノイズが増加してしまうため医用放射線画像系ではこの線量とノイズのトレードオフが常に問題となる.また,多DAS 型のCT により体軸方向(z 方向) の分解能は改善されたが,x 及びy 方向の分解能は依然として画像再構成関数や画像処理に依存しているところが大きい.そこで,本研究では同じ放射線量で診断に有用な情報を最大限に引き出すため,又は同じ情報量をより低線量で引き出すため,医用X 線CT 画像の画質改善をおこなうことを目的とした.特にノイズ低減の処理に伴う診断情報量の保持や使用する放射線量の低減の可能性及び投影データの非線型性を利用した高空間周波数での投影データ収集に伴うエッジ応答の改善を研究対象とした.画像のノイズ低減に関してはこれまで多数の手法が考案されている.例えば,中央値フィルタや平均値フィルタ等の実空間上のフィルタリング,低域通過フィルタやバンドパスフィルタ等の基本的な空間周波数領域での処理,空間(位置)-スケール処理による手法,統計的な手法等があるが,それぞれに長短所がある.中央値フィルタ等は一般にスパイク状のノイズ処理に有効であるとされており,比較的低周波数領域に存在するノイズに適用するには向いていない.空間周波数領域での処理は一般に信号とノイズの空間周波数分布が異なる場合には非常に優れたノイズ低減処理が可能であるが,そうでない場合には処理が信号成分にまで影響を及ぼしてしまうため不都合である.一方で空間-スケール処理は,どの位置にどのような周波数帯の信号成分が存在しているかに基づいて処理が可能であり,従来の方法よりも柔軟な処理が可能であると考えられる.種々の周波数成分を含む信号にノイズを付加したものに対して低域通過フィルタによるノイズ低減をおこなった場合では,信号のグラディエントが大きな部分におけるアーチファクトの発生や振幅の低下が顕著であったが,空間-スケール処理におけるそれでは,信号への影響をかなり抑制することができた.ウェーブレット分解に基づく空間-スケール処理を利用したノイズ低減の処理には非常に多くの操作パラメータが存在するが,これらの最適化について検討した結果,分解する際のカーネル関数についてはCoiflets の短いサポートを有する関数が,分解レベルについては3-4 の分解が,また,空間-スケール領域におけるノイズ成分の縮退法については,これまで考案されている縮退関数の欠点を克服し,且つノイズの振幅分布を考慮した新たな縮退関数の設計をおこなった.選択したパラメータ群及び設計した縮退関数を用いてノイズ低減をおこなったところ,同じノイズ低減の性能で縮退アーチファクトの発生が少なく,且つ視覚的にも自然な処理結果を得ることができた.信号成分を保持しつつノイズ成分だけを効率良く取り除くことができれば,同じ診断の情報量を有する画像をより少ない放射線量で得ることができる,又は同じ放射線量でより多くの診断に有用な情報を引き出せる可能性があり,現在問題視されている放射線画像系の患者の被曝,特にX 線CT での被曝の低減に少なからず貢献できるものと考えられる.投影データの非線型性を利用したエッジ応答の改善では,理論的に「投影データ値は検出器に入射する光子数と線型ではなく,X 線の減弱率の対数変換から得られる」ことを利用する.通常の画像では画素に含まれる被写体の面積と画素値との関係が線型であるが,投影データの場合は検出器素子上のエッジの位置と投影データ値の関係が線型ではない.これによりエッジの位置が検出器素子の隔壁の真上に位置する場合は投影データ値が大きくなるが,隔壁の真上でない場合は投影データ値が小さくなることを示した.更に高空間周波数で投影データをサンプリングした方が,エッジの位置が隔壁の真上に配置される確率が大きくなるため大きな投影データが得られることも示した.ファントムスタディにおいては,臨床のX線CT 装置で実際に高空間周波数サンプリングによる投影データの収集はできないため,ここではトポロジカルな構成は同じで相似比が2:1 の円柱を配した水ファントムを撮像して高空間周波数のサンプリングを模した.その結果,高空間周波数サンプリングを模したデータ収集により得られた画像を加算平均処理することでマトリクスサイズを大きくすることなくエッジ応答を改善できることが確認できた.より高い空間周波数で投影データをサンプリングし,加算平均により従来と同じマトリクスサイズの画像を得ることでエッジの応答が改善できるものと期待できる.先のノイズ低減処理とエッジ強調処理を相補的に組み合わせることで,同じ放射線量で診断に有用な情報を最大限に引き出す,又は同じ情報量をより低い線量で引き出せる可能性があると示唆された., 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(医療技術学)(課程) 学位授与年月日:平成19年3月23日}, school = {名古屋大学, NAGOYA University}, title = {医用X線CT画像の画質改善を目的とした画像処理に関する研究}, year = {2007} }