@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009684, author = {伊藤, 稔明}, month = {Mar}, note = {重いクオークの有効理論(Heavy Quark Effective Theory)は、重いクオークの質量を無限大としたときに現れるスピン・フレーバー対称性に基づくQCDの有効理論である。この有効理論はbあるいはcクオークを含んだハドロンの現象論的解析に大きな威力を発揮してきた。特に、セミ・レプトニック崩壊β→D^*l\bar{ν}_lのデータを用いて、小林-益川行列の要素|V_cd|をmodel-independentに決定する可能性を与え、現在の素粒子物理学の課題に対して、重要な役割を果たした。重いクオークの有効理論には、\bar{Λ}/mQを展開パラメーターとする系統的な補正の導入が可能であり、この補正を考慮することにより、ハドロンの質量を解析することができるようになる。更にまたsクオークがこの有効理論の枠組みに入る可能性が生じる。重いクオークの有効理論に基づく質量公式をsクオークに適用することにより、基底状態のハドロンの質量を再現することができる。この質量公式はQ\bar{q}メソン、Qqqバリオンのみならず、QQqバリオンにも適用可能なものである。重いクォークの有効理論において励起状態を考察するとき、そのハドロンの「軽い自由度」のスピン・パリティを同定することが重要な課題となる。この同定は、重いクォークのスピン対称性から生じる崩壊振幅の間の関係を、調べることによって可能となる。この考えをsクオークに適用することで、ストレンジ・メソンの励起状態も、「軽い自由度」のスピン・パリティで分類し得ることが明らかとなる。BメソンとDメソンのヤミレプトニック崩壊についての実験データは、同一の形状因子を用いて再現される。これらの現象論的考察からは、sクォークへの重いクォークの有効理論の適用の正当性が示唆される。更に、このセミレプトニック崩壊の実験データを用いて、展開パラメーター\bar{Λ}がs、c、bクォークのフレーバーに依存しない量であることが示され、重いクォークの有効理論のsクオークへの適用可能性が検証される。重いクォークの有効理論をsクォークに適用し、その有効性を確立したことは重いクォークの有効理論の発展であり、更に1/m_Q補正の効果を知る上で重要な示唆を与えるものである。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(理学) (課程) 学位授与年月日:平成7年3月27日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {重いクォ-クの有効理論とストレンジ・ハドロン}, year = {1995} }