@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009686, author = {山田, 耕司}, month = {Mar}, note = {近年、原子力発電用の圧力容器、深海作業艇の耐圧壁、大深度地下構造物の外壁など、非常に大きな強度と高い安全性を求められる構造物の需要が増加してきている。これらのシェル構造物は強度上の要求からシェル状構造物となることが多く、その厚さも今まで用いられているシェルに比べかなり厚肉のものとなっている。このような厚肉シェル状構造物の解析に用いることのできる方法には、古典的なシェル理論に基づく理論解析法のほか、有限要素法などに代表される離散化数値解析法がある。後者の場合、要素データの作成の労力や計算時間の増大を厭わなければ、三次元物体としての解析も可能であり、幾何学的および材料的非線形性を考慮した解析も困難ではない。しかし、有限要素法などの数値解析法により得られた解は、要素内の仮定関数の次数と解析領域の要素分割数の影響を受けやすい。当然解析を行う個々の場合に対応して適正な要素分割を行い、適正な仮定関数を用いれば良いわけではあるが、それらを行うには経験が必要となる。一方、シェル理論による近似理論解析においては、厚さ方向の断面内応力分布に近似仮定を導入するので、その仮定の範囲内の精度でしか解の保証はできない。また、座屈挙動の解析には幾何学的非線形性を考慮した増分解析が必要になるが、この場合、逐次解析を進めるにつれて計算誤差が累積することも予想される。数値解析法で避けられない離散化誤差、計算誤差や近似解析理論の近似誤差を把握し、三次元物体としての挙動を定性的に理解するためには、その規範となる解が必要である。そのためには、三次元弾性論に基づく厳正解の導出が不可欠である。三次元弾性問題の解析手法としては、ポテンシャル関数を用いる方法、ガラーキンベクトルを用いる方法、体積歪を用いる方法などか提案されているが、主に地盤などの半無限弾性体に解析に用いられており、厚肉シェルの解析に用いられることは少ない。また、三次元弾性論に基づいてシェルの曲げ応力状態の線形一般解や幾何学的非線形解を導出し、それを基準にシェル理論の精度や適用限界を検討した研究は、著者の知る限りでは見受けられない。以上のような背景から、本論文では、線形等方弾性体で構成されるシェル状の三次元物体に対して、シェル理論や離散化解析法の精度の検証のための指標となりうる理論解の提示を目的とし、三次元弾性論に基づく線形および幾何学的非線形解の導出およびその解の性状の考察を行っている。論文は2部10章から構成されている。第1章では、序として、厚肉シェルの三次元弾性論に基づく理論解析の必要性と本研究の目的及び各章の概要を述べている。第Ⅰ部(第2章~第6章)では、円筒シェルの曲げ応力状態の一般解を三次元線形弾性論の基づいて導出し、シェル理論解との比較を行っている。第2章では三次元線形弾性論の基礎式を示すとともに、既往の解析法を比較し、本研究で用いる体積歪をパラメータとして導入する解析法の利点を述べている。第3章では、円筒シェルの曲げ応力状態の一般解として、周方向にフーリエ展開した場合および軸方向にフーリエ展開した場合について、べき級数型および指数関数型の解を導出し、それぞれの解の特性および未定定数の総数について考察している。その結果、シェル理論では得られない断面内に高次の応力分布モードを持つ解の存在を示している。第4章では、前章で得られた三次元理論解をシェル理論解と比較することにより、シェル理論の適用可能な半径と厚さの比r0/toの限界を検討し、次の結果を得ている。(1)周方向にフーリエ展開された一般解では、rO/to=30程度の厚肉シェルまでは、Dischingerの特性方程式の厳密解より得られるシェル理論の曲げ応力解で十分に解析可能である。(2)軸方向にフーリエ展開された一般解では、フーリエ展開次数ω_0が1以上の場合は、特性値の精度に関係なく特性モードの分布性状は良く、r0/t0=30程度の厚肉シェルまでは特性方程式の数値解析により得られるシェル理論解で十分である。しかし、ω_0=0.1の場合では特性値の精度が良くても特性モードの分布形状が良いとは限らないので注意が必要である。これは、ω_0が0に近づくにつれ軸方向の変位分布が小さい二次元的な変形になり、純曲げが作用する円弧やせん断力が作用する円弧に近づくためと考えられる。つまり、ω_0が小さい場合に法線保持を仮定したシェル理論を用いるべきではないと結論される。また、半径と厚さの比ro/to<25のシェルでせん断変形を考慮したシェル理論を適用するのは危険と考えられる。第5章では、第3章で得られた解の未定定数の総数とシェル断面の拘束条件の数との対応について考察している。また、高次の曲げ応力解を用いて有限長円筒シェルの解析を行っている。その結果、シェル断面の変位拘束条件によっては高次の曲げ応力解が発生することもあり、厚肉円筒シェルの端部の境界条件を支持弾性体との連続的な接続条件として導入する必要性を指摘している。、また、高次の解を用いた解析法として選点法とガラーキン法を採用し、有限要素解との比較から、精度の良いガラーキン法を採用すべきであることを指摘している。第6章では、第Ⅰ部で得られた成果をまとめている。第Ⅱ部(第7章~第9章)では、幾何学的非線形性を考慮した三次元解析法を提案し、応用例として、純曲げおよび曲げ・せん断力の作用する円筒シェルの理論解を導出している。第7章では幾何学的非線形性を考慮した三次元弾性論の基礎式を示している。第8章では、円筒シェルの幾何学的非線形解析を行うための基礎式を誘導し、その一般的な解法を提案している。応用例として、純曲げおよび曲げ・せん断力の作用する場合の理論解を導出し、シェル理論解との比較により、純曲げの作用する場合、局部座屈の発生するまではシェル理論でも最大応力の解析が可能であることを明らかにしている。さらに、曲げ・せん断力が作用する場合について、断面の楕円化を考慮した局部座屈の予測法を提案し、実験結果と比較して良好な結果を得ている。第9章では、第Ⅱ部で得られた成果をまとめている。第10章では、結論として、本研究で得られた成果を総括するとともに、今後の課題について言及している。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(工学) (課程) 学位授与年月日:平成7年3月27日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {三次元弾性理論の厚肉円筒シェルへの応用に関する研究}, year = {1995} }