@phdthesis{oai:nagoya.repo.nii.ac.jp:00009719, author = {川﨑, 健二}, month = {Jan}, note = {一般都市排水の生物処理に際して活性汚泥法が広く実用されているが、処理水質が良好である反面大量の余剰活性汚泥が発生するので、その安定化や処分の際には発生した汚泥を効率よく高度に濃縮し脱水する必要がある。余剰活性汚泥は極めて難脱水性の有機性スラリーであり、脱水性の改善のために固液分離操作に先立って行う有望な物理的前処理法の一つとして凍結融解処理法がある。これまで凍結融解法は無機性スラリーの固液分離に有用なことが明らかにされ上水処理場で既に実用されるに至っているが、有機性スラリーにおいては凍結融解効果が小さく工業的な実用性に欠けると見做されている。しかし、凍結融解処理操作は、凝集剤等薬品の添加を必要とせず、一連の汚泥処理プロセスへの負荷を大幅に増大させることなく固液分離特性を大きく改善できるため、下水処理における大量の余剰活性汚泥の処理・処分に適用できれば、環境保全上利点が極めて多いと考えられる。本論文では、有機性スラリーとして余剰活性汚泥に着目して、その固液分離特性の改善に凍結融解法が極めて有効であることを示し、凍結処理条件と汚泥性状の改質効果並びに固液分離特性の改善効果との関係を究明し、最適な凍結処理操作および固液分離諸操作や装置の設計に有用な指標を検討した。すなわち、凍結融解処理による汚泥固形物の性状変化、その変化と凍結条件の相関、およびその変化が固液分離特性に与える影響を究明し、重力沈降・遠心沈降・ケークろ過・圧搾分離など汚泥処理プロセスにおける一連の固液分離操作の高性能化に適した凍結融解処理条件が生物細胞など懸濁貿に多量に含有される束縛水の影響を考慮して合理的に評価できることを明らかにした。第一章においては、凍結融解処理法の開発と実用化を意図した既往の主な研究を取り上げ、上水汚泥など無機性スラリーにおける凍結融解法の工業化に至る経琵を概述するとともに、余剰活性汚泥など有機性スラリーに凍結融解法を適用する場合の問題点に言及した。また、汚泥を固形物濃度に応じて希薄汚泥、濃厚汚泥および半固体状汚泥に大別して凍結機構に関する既往の研究を述べ、本研究の目的と背景を概述した。第二章においては、凍結融解処理による余剰活性汚泥の性状変化を究明し、凍結の進行とともに懸濁質は中心部に集まり、それが凍結時に凝集粗大化して固液分離特性の改善をもたらすこと、また、汚泥温度が凝固点温度からさらに低下し始める時点で凍結部の溶解性有機炭素および溶存固形物の濃度が急増し、溶出する溶存固形物質量は固形物単位質量当り0.036gであり、その内の約38%が溶解性有機炭素であることを明らかにした。次に、懸濁固形物・溶存固形物・溶解性有機物など各種成分について凍結汚泥中の濃度分布が本章の測定法によって決定でき、凍結時に氷層に取り込まれる懸濁固形物、溶存固形物および溶解性有機炭素の比は冷凍時間および凍結管断面位置に無関係にほぼ一定となることを明らかにした。第三章においては、凍結融解余剰活性汚泥のフロック特性の簡易測定法を得るため、固液分散特性に及ぼす汚泥に含有される束縛水の影響を考慮して、遠心沈降に基づいて束縛水量の決定法を提案した。 また、未凍結汚泥の場合、束縛水量は乾燥固形物体積の13倍程度であるが、凍結融解処理後には5倍程度にまで減少すること、特に緩速凍結では、固形物自体のほかフロック内部において固形物の占有率が増し、固形物やフロック構造がかなり緻密化されることを明らかにした。次に、束縛水を含有する固形物層の部分空隙率が固形物に作用する部分固体圧縮圧力に依存し、両者の相関関係が本章の簡易測定法を利用して精度良く求められることを示した。第四章においては、凍結融解処理汚泥の沈降分離特性に及ぼす凍結融解処理条件の影響を究明した。すなわち、Richardson&Zakiの沈降速度式に立脚して、単一フロックの沈降速度V_sf およびフロック固体体積分率Φ_ka の決定法を提案し、これら両特性値が未凍結汚泥<急速凍結融解処理汚泥<緩速凍結融解処理汚泥の順に増加し、凍結速度が2mm/hのいわゆる緩速凍結処理によればフロック構造が最も緻密になって沈降速度が大きく向上することを明らかにした。また、緩速凍結条件では、容易に変形しないフロックが生成され、沈積層の平衡固形物濃度あるいは濃縮度も最大となり、これら処理汚泥の沈降分離特性が冷凍温度よりも主として凍結速度に支配されることも明らかにし、沈降分離操作に通した凍結速度は上述のV_sf およびΦ_ka値を指標として設定できることを示した。第五章においては、凍結融解処理汚泥のろ過特性と凍結処理条件の影響を検討した。すなわち、束縛水を含有する有機性スラリーを対象とした解析法を考察して平均ろ過比抵抗値を求め、下水余剰活性汚泥の平均ろ過比抵抗は凍結融解処理によって1/55程度の値まで減少しろ過速度がかなり大きく増加することを明らかにした。次いで、凍結速度が一定の場合は、-6~-30℃の凍結温度では平均ろ過比抵抗値が冷凍温度の大小によってほとんど変化しないこと、また、凍結温度が一定の場合は2mm/h程度以上の凍結速度では、凍結速度が小さいほど緻密な凝集フロックが生成されて平均ろ過比抵抗値が大きく減少しろ過速度がより増加するが、2mm/h程度以下では平均ろ過比抵抗値はほぼ一定となり、ろ過速度は凍結速度によってもほとんど影響されないことを明らかにした。 さらに、汚泥の中心温度が冷凍庫設定温度と等しくなる冷凍時間まで凍結すれば、凍結管のどの断面位置で凍結した固形物でもろ過特性の改善効果は最大となり、それ以上冷凍を継続してもろ過特性はほとんど変化しないことを明らかにした。第六章においては、凍結融解処理汚泥の圧搾分離特性および凍結処理条件の影響を究明した。すなわち、束縛水の存在を考慮して半固体状湿潤汚泥の圧搾諸特性値の決定法を導出して諸特性値を定圧圧搾試験によって求め、本章の未処理汚泥では、1次圧密速度を支配する修正圧密係数C_e.wおよび2次圧密速度に関するクリープ定数η値は、圧搾圧力pに無関係にほぼ一定であるが、凍結融解処理を行うと、未凍結汚泥と比較してC_e.w 値は減少し、一方、η値は20~25%程度増加することを明らかにした。また、全圧搾量と2次圧密室の比すなわちクリープ定数B は、圧搾圧力pの大小および凍結融解処理の有無には無関係に約0.9 という著しく大きい値を示し、凍結融解余剰活性汚泥の圧搾は主に固形物のクリープに起因して起こると考えられ、凍結融解処理は圧搾速度に好影響を与えることを明らかにした。さらに、圧搾平衡時の含水率も、凍結融解処理によって10%程度減少させることができて、比較的低い圧搾圧力によって自燃可能な含水率まで容易に滅ずることができ、作用圧力p を増大させることによって、固形物に含有される多量の束縛水も分散可能になるとの推察も示した。, 名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(工学) (論文) 学位授与年月日:平成7年1月31日}, school = {名古屋大学, Nagoya University}, title = {有機性スラリ-の凍結融解と固液分離に関する研究}, year = {1994} }